Fusarium属推奨菌株
近年、Fusarium属菌等ではDNA塩基配列の比較解析に基づく分子系統学的研究が進み、本属菌の多くの種が複数種を内在する種複合体であることが明らかにされてきた。また、種の分割・再定義も次々に進められる状況にある。農業生物資源ジーンバンクでは、日本産のFusarium属菌種についてその典型的菌株のセットを最新の分類学的基礎に基づいて構築することを目的に、所蔵菌株の培養下での性状検査と合わせて、Histone H3遺伝子領域、ミトコンドリア小サブユニット・リボソームDNA(mtSSU rDNA)、リボソームDNA ITS領域(rDNA-ITS;18S rDNA部分塩基配列、rDNA-ITS1領域、5.8S rDNA、rDNA-ITS2領域、および28S rDNA部分塩基配列を含む)等についてDNA塩基配列の決定と解析を進めてきた。これらの情報を点検・総合し、各菌種を代表する良好な菌株をFusarium属菌の第一次「配布のための推奨菌株」として選定した。
- 文献 Aoki T., Geiser D.M., Kasson M.T. and O'Donnell K. (2020). Nomenclatural novelties. Index Fungorum 440: 1-5. [indexfungorum.org]
- 文献 青木孝之 (2009). Fusarium属の分類法. 日本微生物資源学会誌 25(1): 1-12. [jsmrs.jp]
- *1 小文字部分は増幅時に使用したプライマー配列を表します。
- *2 ITS-Lには、18SrDNA(部分), ITS1, 5.8srDNA, ITS2, 28SrDNA(部分)の塩基配列を含みます。
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