第8回 PGRAsiaシンポジウム

第8回 アジア植物遺伝資源 (PGRAsia) シンポジウム(Web開催)のご案内

農研機構遺伝資源研究センターは、2014年度から農林水産省の海外植物遺伝資源に関する委託プロジェクト (PGRAsia) を実施しています。本プロジェクトでは、アジア諸国*1 のジーンバンク等と農研機構を中心とする研究チームが連携して野菜を中心とする植物遺伝資源*2 の探索収集と特性評価を共同で行い、植物遺伝資源の利用促進に取組んでいます。

今回はWebシンポジウムとして、最近のプロジェクトの成果発表と植物遺伝資源に関する筑波大学の渡邉和男先生による講演を行います。

  • *1 ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、キルギス
  • *2 キュウリ、メロン、カボチャ、ナス、トウガラシ、アマランサス、アブラナ類、トマト
開催日時
2021年11月17日(水) 13:30~15:00
開催方法
本シンポジウムはGigaCastの配信システムを使ってお送りします。
シンポジウム概要
プログラム
13:30開会農研機構遺伝資源研究センター 山本伸一
13:30-14:30プロジェクトの成果発表
  • PGRAsiaプロジェクトの概要について: 農研機構遺伝資源研究センター センター長 川口健太郎
  • 収集したトウガラシの中に新たに見出されたサツマイモネコブセンチュウ抵抗性遺伝資源と今後の展望: 宮崎県総合農業試験場 武田和宣
  • 在来品種データベース構築の中間報告: 山形大学農学部 江頭宏昌
  • ロングリードシーケンサーで解読する遺伝資源ゲノム: 農研機構遺伝資源研究センター 内藤健 (講演の様子
14:30-15:00遺伝資源研究会
(講演) これまでの遺伝資源探索調査と今後の課題筑波大学 生命環境系 渡邉和男
15:00閉会農研機構遺伝資源研究センター 山本伸一

参加申込

参加を希望される方は、下記の参加申し込み窓口より、登録をお願いいたします。
参加申し込み窓口: https://cloud.gigacast.tv/Live/Site/DDE2zG
申込締め切り: 2021年11月16日(火)
※定員になり次第申込を終了させていただきます(定員150名)

開催報告

2021年11月17日(水)13:30~15:05に、農林水産省委託プロジェクトPGRAsiaの活動の一環として、「第8回 アジア植物遺伝資源 (PGRAsia) シンポジウム」をWeb開催で実施しました。

シンポジウムの概要
前半は、プロジェクトの成果報告として、トウガラシ遺伝資源から見出されたサツマイモネコブセンチュウ抵抗性と、国内在来品種のデータベース、ロングリードシーケンサーによる遺伝子ゲノム解読について成果の報告を行いました。後半は遺伝資源に関する研究会として、これまでの海外遺伝資源探索の取り扱いの変遷や今後の問題点について紹介がありました。
参加者
参加者数 130名(民間27、行政2、県16、独法46(内機構40)、大学38、マスコミ1)
チャットで出された質問への回答
[質問] 東南アジアでは、キダチトウガラシの類のC. frutescens及びジョロキア系のC. chinenseも見られます。種間雑種は難しいでしょうが、これらには抵抗性はないのでしょうか?
[回答] C. frutescensについては、本講演で紹介したとおり、線虫に対して強度抵抗性の素材が多数確認されております。C.chinenseについても、点数は多くはないものの本プロジェクトで収集し、線虫抵抗性の評価を行っていますが、強度抵抗性の素材は現時点では見つかっておりません。
[質問] 塊茎形成のバレイショ近縁野生種では、M. incognitaへの抵抗性ある系統は多々ありますが、これらの異属接木は効果がないのでしょうか?
[回答] 効果が見られる可能性はありますが、以下のような内容の確認が必要になってくると思います。まず、バイレイショ近縁種が持つ線虫抵抗性がトウガラシを侵す線虫にも抵抗性を示すかどうかを試験する必要があります。次に、トウガラシとバレイショ近縁種との接ぎ木が可能かどうかを試験する必要があります。その上で、抵抗性を有して接ぎ木が可能であっても、台木としてはその他の土壌病害への抵抗性(複合抵抗性)や優れた栽培特性(穂木の生育が良好で収量性が高い)が求められるため、そのあたりも試験をしていく必要があります。
[質問] C. frutescensC. annuum は接げないのでしょうか
[回答] 試験をしたことはありませんが、トマトやナスでも近縁種を台木とした接ぎ木の事例は見られるので、可能と思われます。しかし、接ぎ木が可能であっても、台木としては、その他の土壌病害への抵抗性(複合抵抗性)や優れた栽培特性(穂木の生育が良好で収量性が高い)が求められるため、そのあたりも試験をしていく必要があります。
[質問] C. frutescensの抵抗性の機序はどのようなものか、興味があります。
[回答] 現時点では不明ですが、現在、本プロジェクト内でC. frutescensが有する線虫抵抗性の遺伝解析を行っております。解析結果を元に、遺伝子やタンパク質の研究が進めば、抵抗性のメカニズムが明らかになる可能性があると思います。
[質問] 在来品種は言葉として、一般的に使われていますが、植物育種学辞典では、掲載されていません。在来種の記載はありますが、意図が違います。用語の使用について、農研機構等で、用語集を作っていただいた方が良いかと存じます。
[回答] とりあえず今のところ説明が必要だと思われるのは「在来品種」という言葉だけですので、用語集ではなく在来品種データベースのページ内に解説を加えて対応したいと思います。
[質問] landraceであるなら、英語の遺伝資源関係の教科書の用語集にけっこう説明があるように思う。
[回答] landraceや在来品種は定義が難しい用語です。landraceは初出が1890年のようですが、1908年に初めて定義が提案され、その後100年以上にわたり議論が続いており、現在でも包括的なシンプルな定義は定まっていません。
[質問] 「利用者が特性調査結果を入力すると関連するゲノム領域を返してくれる」ようなシステム(イネでは構築されている)に興味があります。構想段階かも知れませんが何か追加情報があればご共有お願い致します。
[回答] 質問されたシステムとしてTASUKE+ がすでに公開されています。下記のURLからお訪ねください。https://tasuke.dna.affrc.go.jp/

お問い合わせ先

農研機構 遺伝資源研究センター PGRAsia事務局
E-mail: office-PGRAsia at(nospam) gene dot affrc dot go dot jp
電話: 029-838-7436 (根本) 029-838-7459 (山本)