在来品種データベース

「阿蘇たかな」品種情報
生産地熊本県阿蘇市黒川
作物名ツケナ
品種名阿蘇たかな
学名Brassica juncea (L.) Czern. (アブラナ科)
現地での呼称あそたかな
写真民家の庭で栽培される阿蘇たかな@熊本県阿蘇市2015-02-10 阿蘇たかなの幼苗@熊本県阿蘇市2015-02-10 阿蘇たかなの「古漬け」@熊本県阿蘇市(阿蘇高原たかな漬本舗合資会社江藤加工食品にて2015-02-10) 元祖たかなめし@熊本県阿蘇市2015-02-10 収穫された阿蘇たかな(写真は上田愼二氏提供) 阿蘇たかなの「新漬け」(写真は上田愼二氏提供) 阿蘇たかなの収穫風景(写真は上田愼二氏提供)
栽培方法播種は10月中旬ごろ、遅くとも月末までに播種しないと寒さで育たなくなる。冬期の低温の中で少しずつ生育し、春先暖かくなると抽台し花茎が一斉に伸びる。収穫は3月中旬~4月上旬で、20~30cmに伸びた花茎を手で折りとって行う。これを「たかな折り」と呼ぶ。
品種特性カラシナ(Brassica juncea)の一種。阿蘇たかなには阿蘇谷を中心に分布する「丸葉系」、小国地方に分布する「小国系」、南阿蘇・波野方面に分布する「むらさき系」、久住高原に分布する「あざみ葉系」があるといわれている(熊本資料1)。阿蘇たかなには早生、中生、晩生、晩々生の4系統に分けられる。
由来・歴史阿蘇たかなの栽培がいつから始まったのかは記録がないが、1735年に書かれた阿蘇郡を含む「肥後国之内熊本領産物帳」には菜類の産物として「たか菜、蕪菜、からし菜」の記載がある(熊本資料2)。
伝統的利用法とう立ちした花茎を漬け込んだものを「阿蘇たかな漬け」とよび、三池高菜のような葉を中心につけ込む高菜漬けとは異なるものである。「たかな折り」された花茎をその日のうちに塩もみして樽につけ込む。「阿蘇たかな漬け」には、「新漬け」と「古漬け」の2種類がある。塩分が少ない「新漬け」は、漬け込み7日程度で緑が鮮やかで辛味と新鮮な風味がある浅漬けとなり、3月中旬から4月末ごろまで食される。塩分が多い「古漬け」は、3ヶ月以上漬け込むことで乳酸発酵し、独特の風味があるべっ甲色の漬物となる。7月頃から1年中食され、刻んで醤油をかけたり、油で炒めたり、高菜めしに用いられる。
栽培・保存の現状2015年当時、200ha、4000t程度の生産量があった。
消費・流通の現状自家消費、物産館等での販売、漬物業者による土産物としての販売。
継承の現状阿蘇たかなの生産は、栽培農家の高齢化により減少傾向にある。
参考資料
  • 熊本資料1)河野清(2002)熊本県.タキイ種苗出版部編(2002)『地方野菜大全』、農文協、p295~296.
  • 熊本資料2)著者不明(1735)「肥後国之内熊本領産物帳」.盛永俊太郎・安田健(1989)『享保・元文 諸国産物帳集成 第ⅩⅢ巻 豊後・肥後』(永青文庫本版(熊本大学図書館に寄託))、p219.
調査日2015/2/10
備考阿蘇たかな漬けは令和4(2022)年、文化庁の100年フード(伝統部門)の認定を受けた。