在来品種データベース

「芥屋かぶ」品種情報
生産地福岡県糸島市志摩芥屋
作物名カブ
品種名芥屋かぶ
学名Brassica rapa L. var. rapa (アブラナ科)
現地での呼称けやかぶ
写真間引き作業(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 芥屋カブの幼苗(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 芥屋カブの畑@福岡県糸島市芥屋2014-01-06 収穫した芥屋かぶ(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 採種用母本の植付け(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 開花のようす(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 莢殻を除いて種子をとりだす(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 漬物用に干した芥屋かぶ(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 芥屋カブの「うみのつけもん」(色の淡い方)と甘酢漬け 仲間で芥屋かぶの漬物を持ち寄って楽しむ。左下は葉で作ったジェノベーゼ風ソース(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供) 芥屋かぶの葉とバナナのスムージー(写真は芥屋かぶを楽しむ会提供)
栽培方法9月中下旬播種、11月上旬から収穫。
品種特性和種系。葉の表面は無毛。葉柄は立つ。肉質の堅さと甘み、辛味は中程度。葉もアクが少なく美味。直径10cm、長さ15cmくらい。先端が勾玉状あるいはL字状の形になる。地下部も含めて全体が赤く着色するものと地下部が白く、地上部の首は赤く着色するものが混じる。
由来・歴史1736年に編纂された『筑前国産物帳・上巻』(福岡資料2)の菜類の項に「芥屋かぶ」が記載されていることから、280年以上の歴史があると考えられる。
伝統的利用法

漬物(うみのつけもん、ぬか漬、甘酢漬け)が中心。

■うみのつけもん(海の漬け物)

収穫した茎葉付きのカブを水で土などをよく洗い、5~6株を束ねて1週間くらい陽に干す。その後、海岸の岩場の海水でよく揉んだあと、茎葉とひげ根を切り落とす。再び海水につけ、重しをする。1,2ヶ月くらいで乳酸発酵して食べられるようになる。

※昔は海岸で石を囲ってその場で海水で漬物を作ったといわれている。また海水でよく揉むと皮が軟らかくなるといわれている(福岡資料3)。

■甘酢漬け

うみのつけもんと同様、1週間くらい陽に干したカブを海水でよく揉んだ後、茎葉とひげ根を切り落とす。丸ごとでもよいが、好みで適当な長さに切り、繊維に沿って5mmの厚さに切る。それに3%の塩でもみ、重しをして一晩置く。水分が出てくるので十分捨てる。500gのカブに対し、各大さじ4杯の酢と砂糖を加えて重しをして漬ける。全体に色が染まったら食べられる。

■漬物以外の食べ方

収穫したカブはそのままスティック状に切って、マヨネーズや味噌でいただく。葉はジュースにしたり、一夜漬けにして刻んでパン生地に入れて焼く。

栽培・保存の現状栽培者は5~6人いるが自家用が中心。自家採種。
消費・流通の現状企業(漬物屋)に出荷しているのは2人。
継承の現状2019年ころ、糸島農業高校の高校生が芥屋カブのプロジェクトを立ち上げて栽培に取り組んでいた。また2019年から地域の小学校で栽培指導を開始した。
参考資料
  • 福岡資料2)竹田定之進・小野玄林(1736)『筑前國産物帳上』.盛永俊太郎・安田健(1989)『享保・元文 諸国産物帳集成 第ⅩⅡ巻 筑前・筑後』、科学書院、p43.
  • ※同本の巻末p864にもこの史料の解題があるが、西日本新聞社が1975年に刊行した『筑前国産物帳上中下合本』にも丁寧な解題および内容の品目ごとに専門家の解説がある。
  • 福岡資料3)小金丸 輝(1994)『ふるさと彩時記』、(資)糸島新聞社、p105.
調査日
  • 2014/1/16
  • 2019/12/18
備考栽培者の中心メンバーは神奈川県からの移住者である(1998年に移住)。年に一回、芥屋カブを楽しむ会が地元で催されている。