在来品種データベース

「香川本鷹」品種情報
生産地香川県丸亀市手島町、広島町、本島町など
作物名トウガラシ
品種名香川本鷹
学名Capsicum annuum L. (ナス科)
現地での呼称かがわほんたか
写真香川本鷹の佃煮 香川本鷹の栽培風景@香川県手島2023-09-10 香川本鷹の畑@香川県手島2023-09-10 香川本鷹の草姿@香川県手島2023-09-10 香川本鷹の製品(乾燥品)
栽培方法伝統的に3月1日に播種するが、2月上旬、あるいは12月上旬に播種することもある。収穫は8月から11月。
品種特性

果実の色は濃赤色、長さは7~8cm、最大で12cmにもなる大果である。果実の上部は肩が張って角があり、果柄部分はやや凹むものが多い。鷹の爪のように1節に房状に着果せず、一節に単一の果実が上向きにつくのが特徴である。上品な香りと強い辛味がある。辛味は国内在来品種のなかでは最大で鷹の爪の4倍程度ともいわれる(香川資料1)。辛味の中に甘味と旨みも感じられる。

熊沢氏(香川資料2)は、鷹の爪品種群に分類しているが、松島ら(2022)(香川資料3)はDNAマーカー(RAPD)を用いて遺伝的類縁関係を調査したところ、香川本鷹は一般的な鷹の爪とは異なるグループに属し、松本太長辛こしょう、伏見甘長、日光唐辛子などと類縁を示す結果を得ている。ただし、松島はこれらがすべて果実が下向き着果するのに対し、香川本鷹のみが上向きであることも指摘している。

由来・歴史

約400年以上前、豊臣秀吉の時代に塩飽水軍が朝鮮の役の功績によって秀吉からこのトウガラシを拝領したと言い伝えられている。平賀源内も『蕃椒譜』に朝鮮の役で種子を持ち帰ったこと、長さ五寸近くになる「本高」なる品種を記載しているという(香川資料4)。

昭和初期にはピクルスの材料として海外へ輸出され、高い評価を得ていたという。三豊市詫間町で昭和57(1982)年まで営業していたトウガラシ問屋によると、最盛期の買い入れ額は当時の貨幣で8億円を超えたという。しかし昭和中期以降は、安い輸入品に押され生産量が減少し、姿を消した(香川資料1と4)。

2005年ころ三豊市詫間町で香川本鷹を門外不出で栽培していた農家から、香川県西讃農業改良普及センターの糸川桂市氏が許しを得て種子を分譲してもらい、2006(平成18)年2月に県・市・JA・加工品会社とともに「香川本鷹復活プロジェクト」が始まった。同年、飽海諸島の丸亀市手島町と広島町の8戸8aで復活栽培が始まった。平成26(2014)年には三豊市内を中心に75aを15戸の生産者が栽培し、7.5tを生産した(香川資料4)。

伝統的利用法薬味が主。佃煮。
栽培・保存の現状

「香川本鷹復活プロジェクト」から年数が経過し、栽培者の高齢化にともなって、再び生産者が減った。現在、出荷栽培者は塩飽諸島の一部、丸亀市手島町、本島町、広島町に合計4人くらいいる。自家用に栽培している人は他にいる。また、観音寺市・三豊市には自家用・販売用を含めて16人(合計1.31ha)の栽培者がいる(令和5(2023)年度)。

香川県は県内で栽培する人向けに種苗を購入できる種苗店の紹介や、香川県農業試験場が県内の種苗業者向けに種子を分譲している。

消費・流通の現状地域商社OIKAZEに加工用材料として出荷しているほか、製品はOIKAZE SHOP、丸亀城内観光案内所おみやげショップ、うどん店飯野屋などで販売している。
参考資料
  • 香川資料1)「ヒマワリ・香川本鷹・旧校舎で島おこし 問題は後継者不足」(2019)広報まるがめ2019年10月号(通号 No.179)、p8-9.
  • 香川資料2)熊沢三郎(1956)第13節 唐辛子.『蔬菜園芸学各論』、p155-164.
  • 香川資料3)松島憲一・伊藤卓也・北村和也・根本和洋・南峰夫(2022)RAPD分析を用いた日本の唐辛子(Capsium annuum)在来品種の類縁関係の解析.園芸学研究21(4):391-399.
  • 香川資料4)糸川桂市(2015)魅力的なトウガラシ「香川本鷹」のストーリー性を生かした島おこしと町おこし.特産種苗 20、p39-42.
  • 香川資料5)糸川桂市(2016)幻のトウガラシ「香川本鷹」復活物語(シリーズ平成27年度「普及活動『絆』物語」奨励賞作品).技術と普及Vol.53、p54-58.
  • 香川資料6)秋山惟恭等編(1852)『西讃府志』(独立行政法人国立公文書館 内閣文庫 176・17).安田健編(2004)『江戸後期諸国産物帳修正(第Ⅱ期)第ⅩⅥ巻--阿波・讃岐・土佐・対馬』、p138.
調査日2023/9/10