在来品種データベース
| 生産地 | 和歌山県有田郡湯浅町 |
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| 作物名 | ナス |
| 品種名 | 湯浅なす |
| 学名 | Solanum melongena L. (ナス科) |
| 現地での呼称 | ゆあさなす |
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| 栽培方法 | 1月に播種し、連作障害回避のためにトナシム台木に接ぎ木して育苗する。4月末に本畑に定植。収穫は7月中旬~11月ころまで。 地元の主力農産物である柑橘の収穫は10月中旬~翌年5,6月ころなので、夏の副業にもすることも可能である(和歌山資料6)。 |
| 品種特性 | 果実の形は丸く、横にやや広く、浅い縦みぞが入るものが多い。へたにトゲは少ない。直径は8~13cm、重さは200~500g程度、皮がやや固く、肉質がしっかりしている。果実の形は新潟県長岡市の中島巾着ほど扁平ではないが、その他の形質は類似し、漬物や蒸かしなすとして利用される点も共通である。江戸時代に「きんちゃくなすび」とか「合包茄子」とよばれたナスの系統である可能性が考えられる。 |
| 由来・歴史 | 盛永・安田(1986)(和歌山資料1)は江戸中期の書物に「きんちゃくなすび」が北陸以北と備前・備中、周防と筑前、肥前に記録されていること、また「加州(加賀)産物帳」には「合法茄・実の形平丸、きんちゃくに似」とあり、さらに「本草記聞」にも「円くして横に広く縦にひだある物あり、きんちゃくなすびと云。紫茄也」とあるのを紹介している。 江戸時代、紀州徳川家に仕えた漢学者、仁井田南陽(1838)が著した全193巻にわたる紀州の地誌『紀伊國続風土記』(和歌山資料2)のなかに、ナス8種類「各郡皆あり」と紹介しているが、その一つに「合包茄」の名前がある。 著者不明(1736~1800年代前半?)(和歌山資料3)の『紀州在田郡広湯浅庄内産物』に「茄」の項があり、5種類のナスを紹介しており、きんちゃくなすや合包茄の名前はないが、「紫茄」が現在の湯浅なすに当たる可能性がある。興味深いことに、食べ方が紹介されている。農家が多く作り、糝(※こながき)に交ぜて糧とし菜料とする。(中略)茄を千切りにして酢醤油にあえたものを辛茄和(しんきあえ)という(新茄和もしくは線切和か?)とある。現在まで茶粥に湯浅ナスで作った金山寺味噌を入れる食べ方は「糝に交ぜて糧」とする食べ方に通じるようにおもわれる。 ※「こながき」は粉菜掻とも書き、菜羹(さいこう:野菜がたくさん入っている熱い汁)に米粉を加えて煮立てたもの。 大正11年3月に発行された『和歌山縣農事試験場成績』(和歌山資料4)には「湯浅在来茄子」の名前があり、この時代には「湯浅茄子」の名前があったことがわかる。2009(平成21)年には湯浅茄子の生産農家が1,2軒まで減少していたが、金山寺味噌を造る醤油会社「丸新本家」社長の新古敏朗氏を中心に湯浅なすを復活する取り組みを始めた。2011年9月13日に、湯浅町、湯浅町商工会、湯味会・湯浅なす勉強会・蒸しっ子湯浅なす生産グループとイオンリテールのあいだで「和歌山湯浅なす推進研究会(蒸しっ子クラブ)」を設立した(和歌山資料5)。 |
| 伝統的利用法 | 肉質がしっかりしているので、塩蔵しても実がやせない。夏に大量に塩蔵したナスを地元発祥の金山寺味噌の具材に利用してきた(ただし現在は生のナスも使う)。またその金山寺味噌を茶粥に落として食べるのが定番である。また蒸して食べる食べ方もある。新しい食べ方としては切ったナスをレンジで温めて生姜醤油などで食べる。厚手に切ってソテーし、めんつゆをかけて食べるなど(和歌山資料6)。 |
| 栽培・保存の現状 | 40歳代から70歳代まで栽培者は7,8人。高温障害や台風などで木が弱るので、毎年収量は不安定である。生産量は5t程度。 |
| 消費・流通の現状 | 大部分は丸新本家の金山寺味噌の材料として利用されている。湯浅なすを使った金山寺味噌は近畿一円の百貨店やスーパーで販売されている。ナスの一部は、地元の青果店、ファーマーズマーケットや直売所、ネット通販で販売されている。 |
| 参考資料 |
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| 調査日 | 2023/7/13 |