在来品種データベース

「黒さや大納言」品種情報
生産地兵庫県丹波市春日町東中
作物名アズキ
品種名黒さや大納言
学名Vigna angularis (Willd.) Ohwi et Ohashi var. angularis
現地での呼称くろさやだいなごん
写真黒さや大納言の種子の特徴 黒さや大納言の種子黒さや大納言の莢と種子 大納言小豆の由来の碑 大納言小豆発祥の碑 着莢の草姿(栽培者柳田隆雄氏撮影)
栽培方法播種は7月20日前後、収穫は10月下旬~11月中旬。
品種特性

日本全国に大納言小豆の系統があるが、丹波大納言は特に品質が優れているといわれ、その中でも春日町は全国一品質が良いといわれている。その春日町の大納言の一系統で、完熟すると莢が黒くなるのが本品種である。

収量は少ないが、種子は大粒で光沢があり、形は横から見ると長方形か台形、つまり両端が平たいものが多い。煮ると大きく肥大するが腹が割れず、型崩れもしにくい。ぜんざいやおはぎにして食べても皮は口中でサラサラと砕け、口にほとんど残らない。

種子を長く貯蔵しても虫害がなく変質しないといわれている。現在は冷蔵庫に種子を保存するが、それがなかった時代は、一升瓶に種子を入れて、コルクか紙でふたをして床下に保存した。

由来・歴史

丹波市春日町東中で受け継がれてきた在来品種である。東中に建立された石碑(出典は丹波氷上郡志)によると、1704(宝永2)年、亀山藩主が東中のアズキを賞揚し、庄屋に精選したアズキを納めさせ、さらに特選したものを江戸幕府に納めた。幕府はその一部を京都御所に献上し、以来、明治維新になるまで献上を続けたとある。また、御所において煮ても腹が割れないことから、「大納言は殿中で刀を抜いても切腹しないですむ」ことから「大納言小豆」と名付けられたと記されている。

しかし収量が少ないために栽培者が減り、2000年に「どっちの料理ショー」というテレビ番組のために東中の農家に声をかけても3升程度しか集められなかった。2001(平成13)年、皇太子妃雅子様が愛子様をご出産されたお祝いに「黒さや大納言」が宮内庁に献納された。

2001年に「黒さや種子保存会」を結成。持続的に生産ができるように固定価格販売制度を導入した。

伝統的利用法丹波地方では毎月1日と15日に神仏に赤飯を供え、自らも食する習慣がある。またカボチャやサトイモあるいは根菜類(ダイコン、ゴボウ、ニンジン)とアズキを一緒に煮て食べる。ようかん、おはぎ、ぜんざいなど。
栽培・保存の現状黒さや種子保存会の発足当時は20名ほどいたが、2021年2月現在、栽培者は15人。
消費・流通の現状菓子屋、神戸の豆類の問屋に出荷している。「あずき工房やなぎだ」でもアズキや加工品の販売をしている。
継承の現状若い人でも50歳代が4,5人いるのみ。
参考資料
  • 兵庫資料4)ひょうごの在来種保存会・編著「つながっていく種と人 ひょうごの在来作物」、神戸新聞総合出版センター、2016年刊.
  • 兵庫資料9)ジーオインターネット放送 種とり人40「丹波黒さや大納言小豆 生産者 柳田隆雄さん」(丹波市)https://www.youtube.com/watch?v=1qcm0d3cYD0
調査日2017/11/4