在来品種データベース

「九条ねぎ」品種情報
生産地京都府京都市内各地
作物名ネギ
品種名九条ねぎ
学名Allium fistulosum L.
現地での呼称くじょうねぎ
写真九条ねぎの栽培風景@京都市南区上鳥羽 九条ねぎの葉鞘(基部は直径約1.5cm)@京都市南区上鳥羽 九条ねぎの近景@京都市南区上鳥羽 3月~4月に仮植えし8月のネギ干しを待つ(6月23日) 干して枯れた上部の葉を除去し株元を15cm程度残す
栽培方法

度重なる出水で肥沃な土壌が堆積した、桂川と加茂川の合流地帯で栽培される。10月末~11月上旬に播種。3月~4月に植え替え(仮植)。7月~8月に苗を掘り上げて、地面に並べて1週間から10日ほど干す(ねぎ干し)。干すことにより、定植後の発根が促進され、同時に外皮を除去することで病気予防にも役立つ。枯れた上部の葉を切り捨てた株元15-20cmを1週間ほど冷蔵庫に入れ、9月から10月ころに順次定植し、10月~2月に収穫する。(以上は南区上鳥羽地域における伝統的な栽培方法)

採種用個体は年末に20株ほど選んで植え直す。30年前から春にねぎ坊主が出るようになったので、播く日にちを変えて春にねぎ坊主が出ない個体を選んで採種するようになった。

品種特性九条ねぎには葉色が淡緑色で分げつの多い浅黄種(アサギタネ、別名:細葱)と葉色が濃緑で分げつが少ない黒種(クロダネ、別名:太葱)がある。上鳥羽地区では浅黄種が栽培されている。分げつ性で緑の葉身が長く、軟らかい。生でかじると、辛味もあるが、強い甘味がある。アザミウマ、赤さび、黒腐れの病虫害を受ける。
由来・歴史

『雍州府志』(ようしゅうふし:1684-1686)の第6巻の雑菜部の葱の項に「葱處々出然此菜並胡蘿蔔菠薐草者東寺並油小路南不動堂辺之産為宜」(ネギ所々出・・この菜ならびに胡蘿蔔(ニンジン)、菠薐草(ホウレンソウ)は東寺から油小路南不動町あたりに良いものが作られている)とあり、高嶋(資料2 p66)は「明らかにこれは九条葱の記事である」としており、九条でのネギの栽培は江戸時代前期には始まっていたと考えられる。

しかし小笠原・木村(資料4:140-141)によると、九条ねぎの名前は『有用植物図説』(1891)や『蔬菜栽培法』(1907)にも見られないが、『下川蔬菜園芸下巻』(1929)や『實用農藝全書』(1941)には「京都府紀伊郡東九条村」の産であると記述された後に多くの書物で「九条」の名が見られるようになるので、「九条ねぎ」の名称は明治以降から昭和初期にかけて普及したとしている。

伝統的利用法焼ねぎ。かしわのすき焼き。カレー。お好み焼きなど。
栽培・保存の現状自家採種による固定種の九条ネギの栽培農家は市内でも限られている。上鳥羽地域で2,3軒(25~83歳)。京の伝統野菜として流通している九条ねぎの大半はF1品種である。
消費・流通の現状中央市場、東京豊洲市場、スーパー、料理人など。
参考資料
  • 京都資料2)高嶋四郎編著(2003)「歳時記 京の伝統野菜と旬野菜」トンボ出版
  • 京都資料4)小笠原彗・木村淳(2020)「九条ねぎの歴史に関する考察と京都に残る九条系一本ネギについて」和食文化研究3(3):136-147.
  • 京都資料5)近畿農政局京都統計・情報センター編(2008)『京のねぎ』
調査日
  • 2022/12/13
  • 2023/6/23
  • 2023/8/20