在来品種データベース
| 生産地 | 三重県志摩市磯部町穴川 |
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| 作物名 | サツマイモ |
| 品種名 | 不明 |
| 学名 | Ipomoea batatas (L.) Lam. (ヒルガオ科) |
| 現地での呼称 | クネンカクシ、キイモ、キミイモ |
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| 栽培方法 | 3月中旬に伏せ込み(種芋を植え付けて芽だし)する。約60日後、つるが20~30cmになったら基部を2,3節残してつるを切り取り、5月末~6月(6月24日に行われる伊雑宮で行われる御田祭のころが最適)につるを定植する。昔は海藻のアマモを拾ってきて肥やしにした。定植後約130~150日(10月から11月中旬まで)に収穫する。収穫した芋は一ヶ月保存して12月に煮切り干しの加工を行う。 三重資料1によると、かつてはコムギとクネンカクシの二毛作が行われていた。11月~6月上旬までコムギを栽培し、その跡地を耕起し畝立てしたところにクネンカクシを植えた。 |
| 品種特性 | 芋の形は短紡錘形など。収量は少ない。つるの色は緑、芋の皮色と肉は黄白色。かための粉質。加熱するときれいな黄色になるのでキイモ、キミイモとも呼ばれた。食味は良好である。この品種が何であるかは、現時点では断言できないが、三重資料3の七福の説明と写真(紡錘形の芋が混じり、つるにアントシアニンが出ない特徴がみられること)と三重資料2の「(七福は)三重の志摩から熊野の海浜地帯で、過日の日常食または常備食への愛着から高齢者によってわずかにつくられている」との記述からキイモ、クネンカクシなどと呼ばれてきたさつまいも品種は七福である可能性が考えられる。 干し芋(現地ではキリボシと呼称)の色は灰緑色になって見た目は劣るものの、甘味は少ないが、風味がよく、噛んでいるうちに味が出てくる。年配の人は懐かしい味として好む傾向がある。 |
| 由来・歴史 | 三重資料1によると、「クネンカクシ」と呼ばれるようになる前はキイモとかキミイモと呼ばれ、キリボシ用に穴川地区一帯でつくられていたが、近年、栽培者がほとんどいなくなり、昭和6年生まれの女性が2016年まで栽培しながら種芋をつないでいた。 また同資料によれば、昭和16年~25年の9年間、政府統制管理によりサツマイモは収量の多い護国藷(ごごくいも)の栽培を強制されたが、キリボシをつくるために隠れて栽培し種芋をつなぎ、9年隠れて栽培したのでクネンカクシと呼ぶようになったと、穴川集落の高齢の男性が証言したという。 |
| 伝統的利用法 | 煮切り干し。穴川の地元ではニッキ、キリボシともいう。近年導入された鹿児島在来のサツマイモ品種「隼人芋」はにんじんいもという別名があるとおり、煮切り干しにすると鮮やかなオレンジ色になる。これが志摩地方で作られてきたナマコの干し物「きんこ」に似ていることから、隼人芋の煮切り干しも「きんこ」と呼ばれるようになったという説がある。 |
| 栽培・保存の現状 | クネンカクシの栽培者は数名程度。干し芋用のサツマイモ栽培者は兼六、シルクスイート、ツルイモ、隼人芋など複数品種を同時に栽培していることが多い。 |
| 消費・流通の現状 | クネンカクシのキリボシは自家用のみで流通はしていない。 |
| 参考資料 |
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| 備考 | 三重資料2によると、七福は1900(明治33)年広島の窪田勇次郎・吉松兄弟サンフランシスコから在来品種「イタリア」を持ち帰り、七福と名付けて知人に勧めたといわれている。1922年愛媛県農事試験場が七福藷の名で全国に配布したものである。 三重県志摩地方ではさつまいもの干し芋(ニッキ、キリボシ、煮切干しとも呼ばれる)が郷土食である。県の志摩の行政や農協が1985(昭和60)年ころから特産品として生産・販売に力を入れ始めた。「芋の館」(阿児町国府)は加工用サツマイモ品種「隼人芋」を使って1988年から隼人芋を使った煮切り干し(きんこ)加工に取り組み始め、2011年に乾燥ハウスを導入し、品質の高いきんこ作りや小学生・社会人への継承活動を行ってきた。 |