在来品種データベース

「守口大根」品種情報
生産地岐阜県羽島郡笠松町、各務原市、愛知県丹羽郡扶桑町
作物名ダイコン
品種名守口大根
学名Raphanus sativus L. var. hortensis Backer (アブラナ科)
現地での呼称もりぐちだいこん
写真守口大根の畑 守口大根。粒度が均一で深い砂壌土なので、長くても手で抜くことが可能である 漬物桶(コンクリート製)@JAぎふ則武支店 伝統的木桶@JAぎふ則武支店 守口漬の販売@丸高守口漬本店 守口大根の搬入(写真は岐阜市経済部農林課より提供) 守口大根の木桶への漬け込み(写真は岐阜市経済部農林課より提供) 守口大根の漬け込み(写真は岐阜市経済部農林課より提供)
栽培方法

木曽川流域で、地下水位が低く、粒度が均一で軟らかく肥沃な砂質土壌が1.2m以上堆積している場所で栽培される。牧草を堆肥として入れると甘味が出る。

9月20日ころから1ヶ月にわたり何回かに分けて播種(段播き)する。つぼ播きで1箇所2粒ずつまく。播種後、2,3ヶ月で収穫となる。ダイコンの直径を2.8cmにして5t/反(10a)の出荷量が標準であるが、直径が平均3cmになると6t/反になる。直径を約2.8cmにするには、株間を調整する。年内に収穫するものは5.5cm、生長期間の長い、年明けに収穫するものは5cmにするなどして、栽植密度を調整しながら生育量をコントロールする。

採種親には葉の長さが短く、茎の付け根がくびれているものを選ぶ。

品種特性守口大根はダイコン品種の中で、最も根長が長いことで知られる。愛知県丹羽郡扶桑町の農家が育てた191.7cmの守口大根が「世界最長の大根」としてギネス世界記録に認定されている。通常でも根長が75cm以上のものを規格品として扱っている。肉質は硬い。皮は形成層のところで容易に分離するので、輪切りにすると手で剥ける。
由来・歴史

岐阜市では戦後間もないころ則武や島で栽培されていたが、宅地化が進み、昭和40年代ころから現在のように郊外(岐阜市外)で出作りするようになった。

岐阜資料5によると、大阪府守口市で栽培されていた守口大根に由来する説と、大阪の守口大根とは別で長良川流域で栽培されていた美濃干し大根、長良大根ともよばれた細根大根に由来するとする説があり、現在は後者が有力視されている。

1642(寛永19)年の鏡島村夫帳(上松屋文書)には「干大根」、「細根大根」の記載があることから、江戸時代は干し大根として利用され、細根大根などと呼ばれていたことがうかがえる。明治になって大阪の守口漬けに利用されるようになって次第に守口大根と呼ばれるようになった。戦前までは岐阜市のみで栽培されていたが、戦後愛知県扶桑町に養蚕の代替作物として導入され、生産拡大につれて岐阜市側と対立するようになったが、1958(昭和33)年に岐阜・愛知守口大根生産連絡協議会が設立され、両産地は共生の道を歩むようになった。

伝統的利用法

守口漬けとよばれる酒粕漬けに利用する。漬けおけは木樽とコンクリートのものがあり、木樽1つでは3~4t、コンクリートだと5tを漬け込むことができる。

岐阜資料5によると、現在の岐阜・愛知の守口漬けは江戸・明治時代に大阪で作られていた守口漬けとは異なり、明治15年に岐阜の料理人の山田才吉が名古屋市内の漬物店主時代に発明して広まったものであるという。

栽培・保存の現状2017年度は木曽川をはさんで愛知県扶桑町の7名が163t、岐阜県の5名が80t生産したが、2023年度は生産者、生産量ともに減って、扶桑町は3名が123t、岐阜県は4名が65tとなった。
消費・流通の現状すべて契約栽培で、漬物加工用に出荷される。
継承の現状後継者不足が深刻な問題である。
参考資料岐阜資料5)田中豊(2010)世界で一番長いダイコン「守口大根」.宇都宮大学だいこんサミット実行委員会編「だいこんの魅力にせまるーだいこんサミット6年間をふりかえって」
調査日
  • 2018/12/3
  • 2024/3/11