在来品種データベース

「水掛菜」品種情報
生産地山梨県都留市十日市場、富士吉田市
作物名ツケナ
品種名水掛菜
学名Brassica napus L. (アブラナ科)
現地での呼称みずかけな
写真水かけ菜の畑(都留市) 水かけ菜の収穫(都留市) 水かけ菜の排水路(都留市十日市場)。きれいな水を大量にかけ流していることが分かる 冨士吉田市の水かけ菜。切れ葉の個体が多い2023-03-05 冨士吉田市の水かけ菜。葉の形態が異なる個体が混在している2023-03-05 冨士吉田市の水かけ菜の収穫部分2023-03-05 冨士吉田市の水かけ菜は葉の巻き込みが切れるのでセイヨウアブラナ(Brassica napus)である 冨士吉田市の水掛け菜の収穫2023-03-05 左が都留市の水かけ菜のお浸し。右が水ネギ(水かけ栽培のネギ)のみそ和え 都留市の水かけ菜の草姿。葉はへら形で冨士吉田市のものと異なる 都留市の水かけ菜(農家A)。葉はへら形のものが多い2023-03-05 都留市の水かけ菜(農家B)。葉はへら形のものが多い2023-03-05 都留市の水掛菜は葉の巻き込みが切れるのでセイヨウアブラナである
栽培方法

都留市十日市場と夏狩は富士山の伏流水が湧き出る場所が複数あり、地域の飲料水をまかなうとともに、地域の農業用水としても利用されている。冬場は気温がマイナス5℃以下になることもあるが、富士山の湧水は水温が10-12度を保っており、これを畑にかけ流すことによって水掛菜の栽培を可能にしている。

1995年ころは9月末~10月5日ころに播種したが、現在は大きくなりすぎるので10月10日前後に水田に高うねを作って播種している(畝ごとに数日ずつずらして段播することもある)。水をかけ流すときに茎葉が水に浸ると土を吸って茎が黒く、硬くなるので、都留市では高うねにして畝の内側で栽培するようにしている。収穫は主に年末から正月で、2月末ころまで収穫できる。採種は莢が黄色くなって、スズメが食べに来る時期になると種子が十分に充実したと判断して、種子を収穫する。

冨士吉田市では転作田に10月10日ころに播種、12月に水を入れ、2月まで水を入れたままにしておく。収穫は12月末~2月末あるいは3月中旬まで。

品種特性都留市の水掛菜の葉はへら形で、葉縁の欠刻は浅い。中には大根のような切れ葉の個体もわずかに混じる。花茎の葉が完全に茎を巻かないので、おそらくセイヨウアブラナ (Brassica juncea)であると思われる。
由来・歴史栽培は明治の末ころからと伝えられているが、由来は不明である。昭和35年に富士吉田市に青果地方卸売市場が設立されたのを機に市場出荷が始まり、正月の需要も伸びた(山梨資料1)。
伝統的利用法おひたし、正月の雑煮、湯盛りうどんの具。
栽培・保存の現状2015年1月時点で、富士吉田市では50軒、都留市十日市場地区では約15軒が栽培を行っていた。2023年現在、引退者と新規参入者がいるので栽培者の数はほとんど変化していない。都留市では十日市場地区だけでなく、夏狩地区でも栽培されている。
消費・流通の現状自家消費、直売所、地元スーパー、給食など。数年前から冨士吉田青果市場や道の駅での販売の他、生産者が直売するようにもなった。地元のイタリアンレストランでポタージュスープやパスタへの練り込んだ料理にも使われるようになった。
継承の現状60歳以上の栽培者が大半であるが、若い栽培者もいる。
参考資料山梨資料1)山梨県ホームページ 水掛菜 https://www.pref.yamanashi.jp/ft-noumu/74684208119.html
調査日
  • 2015/1/10
  • 2023/3/5