在来品種データベース

「吉川ナス」品種情報
生産地福井県鯖江市
作物名ナス
品種名吉川ナス
学名Solanum melongena L. (ナス科)
現地での呼称よしかわなす
写真吉川ナスの出荷形態 吉川ナスの果実(定規は15cm)2022-07-15 吉川ナスの果実2022年11月17日(写真は鯖江市役所提供) 吉川ナスの成り姿2023年7月24日@福岡会長の栽培ハウス(写真は鯖江市役所提供) 吉川ナスの栽培2023年7月24日@福岡会長の栽培ハウス(写真は鯖江市役所提供) 吉川ナスの花2023年10月5日@福岡会長の栽培ハウス(写真は鯖江市役所提供)
栽培方法

栽培地は鯖江市内一帯で、日野川の支流、天王川の氾濫原で肥沃な土壌が堆積した場所である。1月中旬播種で、苗は連作障害を回避するため、トナシム台に接ぎ木する。風が吹いて、吉川ナスの木がゆれると、へた、葉、枝のトゲが果実を傷めるので、露地ではなく、ハウス栽培が主である。4月下旬~5月に定植。主枝を含めて3,4本仕立てにする。収穫は主に6月から11月までで、収穫のピークは7月~8月中旬である。

採種する果実はへたが3枚で、花落ちが小さいものを選ぶ。樹上で完熟したものを水洗いしながら採種し、陰干し後、保管する。

品種特性へた、葉、枝にトゲがある。果実は楕円~巾着型、300g~400gの丸ナス。色は黒紫色で光沢がある。皮は薄く、肉質は締まり、煮ても煮崩れしにくく、油との相性が良く、甘くとろけるような味わいがある。開花後20日で300g程度のサイズになる。
由来・歴史

丸ナスは関西から日本海の地域に多い。中国大陸から対馬海峡を通って越の国に土着し、作られていたものを京の都に献上していたものが賀茂なすになったのではないかという説がある。

遅くとも大正時代には栽培されていたのは明らかであるが、本格的に栽培され始めたのは昭和17,18年ころで下川去町、石田町、田村町で多く栽培された。吉川ナスを継承してきた最後の1人だった加藤武雄さんが2009(平成21)年に亡くなり、「加藤さんの火を消すな」と、同年12月10日に鯖江市伝統野菜等栽培研究会が発足した。2016年7月に農林水産省のGI(地理的表示)保護制度に登録された。さらに2023年4月に地域団体商標「吉川ナス」が登録された。

伝統的利用法みそ汁の具のほか、輪切りにして味噌田楽にする。和食の料理だけでなく、洋食、中華、イタリアンなどの食材にも合う。
栽培・保存の現状2013年には生産者14名で約9000個を収穫していたが、2021年には21人に増え、4万個を生産するようになった。
消費・流通の現状鯖江市の「道の駅西山公園」で販売するほか、越前市の武生青果を通じて県内スーパーへ、また、市内外の料亭、高級レストランにも出荷している。さらに都内の三越伊勢丹デパートの伝統野菜コーナーや首都圏のレストランにも出荷している。なお、同道の駅では、優品(加工用)を活用した吉川ナスバーガーも販売している。
参考資料
  • 福井資料1)「伝統の福井野菜」流通・消費対策について(平成23年1月11日付)
  • 福井資料2)ふるさとやさいの会編「ふくいの伝統野菜」(1998年、福井新聞社発行)
調査日
  • 2013/9/11
  • 2021/12/8(地域特産物セミナーにて)