在来品種データベース

「一重菊」品種情報
生産地新潟県新発田市
作物名食用ギク
品種名一重菊
学名Chrysanthemum morifolium Ramat. (?) (キク科)
現地での呼称ひとえぎく、はなよめ
写真食用菊「花嫁」 一重菊の花(小田切文朗氏撮影) 一重菊の栽培風景1 一重菊の栽培風景2 一重菊の花(小田切文朗氏撮影) ちらし寿司に。魚介の生臭さが消える 酒に菊の香り
栽培方法苗は株分けか、さし木で準備する。定植は5月の連休のころ。開花・収穫は10月中旬~11月上旬ころ。
品種特性

花弁が一重のため収量性は低い。しかし、見た目が可愛いピンク色で、やわらかくフルーティーな甘い香りを持ち、花弁は肉厚で、ほのかな甘みがある。ただし、栽培地が変わると香りが出なくなることがある。

他の食用菊にない最大の特徴は、生で食べても全く苦味がないので、サラダ菊として利用可能な点である。また花だけでなく、ガクや葉も苦味が少ないので食べることが可能である。

草丈は人の背以上に高くなる。開花期間は長く10月中旬(早いときは10月上旬)~11月中旬まで。栽培中の花色の色落ちも少ない。

大部分の栽培菊のゲノムは6倍体であり、「かきのもと」や「もってのほか」などの晩生の紫の袋菊(花弁が筒状の菊)は7倍体であるのに対し、一重菊は多くの食用ギクの中で唯一、8倍体である。

由来・歴史

新潟県農業総合研究所園芸研究センターが新発田市二ツ山で最初に系統収集したため、「二ツ山一重菊」とも呼ばれる。

2012年11月10日に現地調査したところ、加治川沿いに紫雲寺、新屋敷、宮内などで栽培が散見された。二ツ山では4,5年前からに栽培が始まったばかりとのことだったが、新屋敷には少なくとも100年以上前から栽培している農家があったことから、新屋敷あたりが発祥ではないかと推察される。

伝統的利用法伝統的には酢の物やお浸しで利用されてきた。しかし肉料理や魚料理、サラダなどに生の花弁を和えると、美しいだけでなく、肉や魚の生臭さも消えてキクも美味しく食べられるので、生の食べ方が広がっている。
栽培・保存の現状農家の畑に一畝か、半畝程度、自家用に栽培される程度で、大規模な商業栽培はないが、新発田市を中心に下越地方一帯に栽培が広がってきている。
消費・流通の現状自家用が中心であるが、近年新発田市内の直売所で販売されるようになってきた。
継承の現状2012年、新発田市の市民団体「食と農のひろば」が、新潟県の農業職員、新潟県立大学や山形大学の研究者、新発田市内の料理人、関心を持つ市民らとともに一重菊「花嫁」(登録商標取得済み)プロジェクトを立ち上げた。毎年、地域の食文化を楽しもうと料理人と一緒に「花嫁を愛でる会」を開催、一重菊の多様な食べ方を体験する機会を設けている。また、活動に賛同した料理店で花嫁を使った料理を提供している。さらに食と風土をめぐる「花嫁ツアー」と称して全国各地の食用菊産地などを訪ねる活動も行っている。
参考資料
  • 新潟資料8)「見て、食べて、楽しむ。ほのかな香りと美しさ。hana-yome」(パンフレット)花嫁プロジェクト
  • 新潟資料9)佐藤 淳ら(2012)新潟県における食用ギク在来系統の諸特性.園学雑11(1):1-11.
調査日
  • 2012/11/10
  • 2013/10/27
備考一重菊につけた「花嫁」という名前は、新発田市出身の抒情画家・蕗谷虹児が作詞した童謡「花嫁人形」にちなんでつけられたものである。