在来品種データベース

「梨茄子」品種情報
生産地新潟県長岡市
作物名ナス
品種名梨茄子
学名Solanum melongena L. (ナス科)
現地での呼称なしなす
写真梨茄子の草姿は開張性 白系梨茄子の幼果 白系梨茄子の果実 黒系の梨茄子(黒十全)の果実 白系(本来の梨茄子)と黒系(黒十全)のへた下の比較。黒系はへた下にもアントシアニンの着色がある 梨茄子の花
栽培方法

伝統的に信濃川の氾濫原で栽培が行われてきた。3年に一度の増水、多いときは年に2回、梅雨と秋に増水して畑に10ー40cmの土砂が流入する。氾濫原で病気が出にくいのは、こうした土壌の更新が定期的に起こること、川風が常に吹いていることが影響している可能性がある。

播種は中島巾着より1,2週間早く、3月中旬。ハウスで育苗し、本畑への定植は5月末から6月上旬。収穫は白系の梨茄子は9月中旬~10月末まで。黒系は9月中旬から11月上旬まで。

4,5年周期で輪作しながら、自根栽培している。接ぎ木をすると樹勢が強くなり、果実が硬くなり、梨茄子の皮が柔らかい特性が失われるので行わない。

品種特性

梨茄子の果実は、果形が卵型で、皮が柔らかく、多汁で、甘いのが特徴である。

梨茄子には白系と黒系の2系統がある。白系の果皮色は赤紫から淡緑、がく下も淡緑、肉質は緻密である。本来の梨茄子は、へた下が着色しないこととから別名「白系の梨茄子」とも呼ばれ、泉州水茄子の古いタイプの系統であると考えられている。

黒系は食味特性は変わらないが、果皮が濃い紫色でへた下が紫に着色する。「黒系の梨茄子」とか、「黒十全」と呼ばれ、梨茄子といえば、現在はこちらが一般的である。(以上、新潟資料1参照)

由来・歴史

長岡市中島の農家、中島菜圃の5代目、土田(土は正しくは中に点(、)が入る)重兵衛(本名 真十郎)氏が1938(昭和13)年に白根市から品種「十全」の苗を導入して栽培を始め、自家採種をしながら受け継がれてきた。1940(昭和15)年に近所の松田氏に分譲、さらに翌年、松田氏から丸山氏に分譲され普及していった。

ちなみに品種「十全」は1918(昭和3)年に中蒲原郡十全村(旧村松町、現五泉市)の農家がタキイ種苗から種子を購入し、その後十全村から中蒲原郡臼井村赤渋(旧白根市、現新潟市南区)に嫁いだ女性が種子を持参して伝わったといわれており、この白根を中心に県下に広まったものである。

「黒系の梨茄子」(果皮が黒く、ヘタ下も紫に着色する泉州水茄子タイプの品種)は、1944(昭和19)年に長岡市の高橋種苗店が長岡市大島地区に導入したのがはじまり。長岡市をはじめ、三条市、見附市、中之島町、中越地方や魚沼地方、刈羽地方へと普及した。三条市の江原種苗店(廃業)が1955年ころ(昭和30年代)にこの「黒系の梨茄子」を「黒十全」と称して下越地方に普及させた。(新潟資料1参照)

伝統的利用法塩もみ。浅漬け。
栽培・保存の現状白系の梨茄子栽培は長岡市中島の農家、2軒のみ。黒系の梨茄子は長岡市はじめ、旧中之島町などの中越地方、魚沼市などで広く栽培されているが、多くは十全や水茄子を交配したF1品種「新潟黒十全」や「紫水」に置き換わっている。
消費・流通の現状黒系は県内外に広く流通しているが、白系の梨茄子は地元スーパーや電話注文による直販を行っている。
参考資料新潟資料1)にいがた在来作物研究会会誌「一粒万倍」Vol.2(2020年3月)特集新潟県の在来ナス
調査日
  • 2019/9/7
  • 2021/3/12