在来品種データベース

「三浦ダイコン」品種情報
生産地神奈川県三浦市
作物名ダイコン
品種名三浦ダイコン
学名Raphanus sativus L. var. hortensis Backer
現地での呼称みうらだいこん
写真三浦大根(F1品種「黒埼三浦」)と改良品種、淡桜(中央)、レディサラダ(右)(三種類のダイコンは三浦市初声町の高梨農場直売所に提供いただいた) 三浦大根(F1品種「黒埼三浦」)の草姿(定規は50cm) 店頭に並ぶ三浦大根(F1品種「黒崎三浦」)(三浦市初声町の高梨農場直売所にて)
栽培方法

ダイコンは水はけの良い土壌を好むので、三浦半島の埴壌土はダイコン栽培に適している。9月10日ごろ播種。12月下旬を中心に12月中旬~3月中旬に収穫。

かつて固定品種を栽培したころは、採種用に2月に形の良いものを選抜して植え直し、3月20日ころに開花させ、莢ができると軒下に干した。

品種特性

神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所は固定種の「三浦分場系」、「石井系」、「鈴木系」、「角井系」の4系統を保存している(神奈川資料1)。現在、三浦大根の固定種は経済栽培されておらず、F1品種のみが栽培されている。

草姿は横に広がり、葉の中心の葉脈はやや大きく扁平、葉片は広く葉の欠刻は粗い。根の首元は細いが次第に太くなり、中央部から少し下の部分が一番太く、それ以降先端までは細くなり尖る。最大直径は12~15cm、長さは60cm、重さは3kg程度。大きいものだと5~8kg。肉質は軟らかく、繊維は緻密。耐寒性が強く、す入りが遅い。

2024年現在、三浦市農協のF1品種「中葉3号」が栽培の主流である。その他、(株)ミヤサカのタネのF1品種「黒埼三浦」なども栽培されている。

由来・歴史

1902(明治35)年、三浦郡農会が発足し、同会の鈴木寿一が「練馬大根」を導入し、三浦在来の「高円坊ダイコン」(首が太く根は長いが先端が細い系統)との交雑を行って形状の改良を行った。さらに「練馬大根」との自然交雑によって1923,24(大正12,13)年までに「三浦中生」あるいは「相模ダイコン」といわれる系統に改良され、1925(大正14)年に郡農会の岸亀蔵によって正式に「三浦ダイコン」と命名された。

昭和初期には肥大性がよく、収穫容易な多収系統が、1953年ころには神奈川県園芸試験場の下川三男氏が「早生三浦」や「三浦晩生」などを育成し、さらにウィルス抵抗性が付与した品種も育成した。1982(昭和57)年には三浦市農協がF1の三浦ダイコン品種を完成させた。

しかし1979(昭和54)年の間引きを終えた10月19日に大型台風が襲い、まき直しを余儀なくされた。「三浦ダイコン」の播種限界日(10月5日)を越えていたため、生育日数の短い「耐病総太り」を播いたところ、作柄がよく高値で取引された。この年から3年の間に三浦ダイコンは激減し、現在、三浦半島のダイコンの99%は青首大根で、三浦大根はわずか1%かそれ未満の生産になった。

伝統的利用法正月のなます料理。煮もの(風呂吹きやおでん)。煮るとトロッとした食感がある。サラダスティック。葉は炒め物にする。
栽培・保存の現状現在、「三浦ダイコン」は三浦半島の栽培ダイコンの1%かそれ未満であり、その全てがF1品種である。令和5(2023)年の三浦半島の三浦大根栽培面積は3ha程度。
消費・流通の現状三浦ダイコンが農協を通じて市場出荷されるのは12月24日、25日、26日の3日間で、そのほかの時期は直売所で販売されるか、自家用で消費されるのみである。
参考資料神奈川資料1)神奈川県園芸種苗対策協議会(2017)「かながわゆかりの野菜」
調査日2022/12/3