在来品種データベース

「練馬大根」品種情報
生産地東京都練馬区
作物名ダイコン
品種名練馬大根
学名Raphanus sativus L. var. hortensis Backer (アブラナ科)
現地での呼称ねりまだいこん
写真「たち編み」と呼ばれる大根の干し方と渡戸農園の渡戸章さん 収穫された練馬大根@東京都練馬区の渡戸農園 練馬大根の草姿(上から) 練馬大根の醤油漬け 採種母本の植付け(写真は練馬区役所提供) 練馬大根の採種。踏んで莢から種子を出す(写真は練馬区役所提供) 練馬大根の採種母本の選定作業(写真は練馬区役所提供) 練馬大根の母本(写真は練馬区役所提供) 莢殻のゴミを除いた種子(写真は練馬区役所提供)
栽培方法播種は8月下旬。収穫は12月上旬。栽培期間は90~100日。採種用には200~300個体を確保する。
品種特性

首は白色で、長さは長いもので1mになる。中太りの形状が特徴。皮が薄く水分は少ない。味はほろ苦く、繊維質が多く歯ごたえがある。たくあん漬けにすると、パリパリとした歯ざわりになる。

練馬大根はダイコンを代表するダイコンとして全国各地で栽培された。練馬大根には尻細系統と尻づまり系統が分化した。他品種との交配で理想、三浦大根など、多くの品種が作られた。

由来・歴史

東京資料3によると、『東京府北豊島郡誌』に、1690年ころに徳川綱吉公が尾張からダイコンの種子を求め、練馬の桜台で試作させたところ、重さ三貫目(約11キロ)、長さ四尺余(1.2m)のダイコンができ、それ以来、地元に栽培させ、毎年献上させたことが記されているという。また安永年間(1772-1781)に出版された『武蔵演道』には上練馬の農家、又六が作りだしたと記されている。青葉氏はさまざまな文献から練馬大根は1710年前後に成立したと推定している。

東京資料4によると、日露戦争(1904-1905)後、保存食としてたくあん漬けの需要が高まったが、長期にわたる連作と昭和8年に発生したウィルス病被害で、1952(昭和27)年に栽培が途絶えた。練馬区では、2006(平成18)年度から、伝来の種子を継承する「伝来種保存事業」を開始した。

伝統的利用法

たくあん(小糠)漬け。しょうゆ漬け。

ダイコンは収穫後2週間干し、四斗樽に、ぬかと塩と砂糖で漬ける。ダイコンの中央の膨らみは樽の内面のカーブにフィットする形である。

栽培・保存の現状一時は途絶えていた伝来種による栽培であるが、区内のひとりの生産者が、栽培が盛んであった当時の種子を保存していることが判明したため、この種子をもとに、伝来種としての練馬大根を昔ながらの採種技術とともに未来へ継承していこうと、練馬区が2006(平成18)年度から「伝来種保存事業」を開始した。現在、練馬区がJA東京あおばに委託し、区内3農家が種の保存に取り組んでいる。「播種→栽培→収穫(母本選定)→母本栽培→採種」の流れで、形質を受け継ぐ種子を残している。採種量は、年によって大きく変動するが、概ね50,000~90,000粒である。
消費・流通の現状採種した種子のうち、毎年約60,000粒が教育目的で練馬区内の全小中学校および保育園等に配布されている。
参考資料
  • 東京資料3:青葉高著(2000)『日本の野菜』、八坂書房、p247.
  • 東京資料4:大竹道茂監修、八田尚子・山木美恵子著(2009)『江戸東京野菜 図鑑編』、農文協、p22-29.
調査日2022/12/4
備考小中学校等に配布された伝来種の種子は、授業で活用されている。授業用の補助教材として、小学3年生以上を対象とする冊子「まるごと練馬大根」を練馬区教育委員会と連携して作成しており、毎年配布している。