在来品種データベース

「在来種(秋畑在来)」品種情報
生産地群馬県甘楽町
作物名コンニャク
品種名在来種(秋畑在来)
学名Amorphophallus rivieri Durieu var. konjac (K. Koch) Engl.
現地での呼称ざいらいしゅ(あきはたざいらい)
写真群馬県こんにゃく特産研究センターの種芋貯蔵庫 在来系の種芋。一方向からみると正方形に見えるのが特徴。表面がデコボコしたものが多い 備中系の種芋。一方向からみると三角形に見えるのが特徴 支那系の種芋。一方向からみると丸く楕円形に見えるのが特徴。表面はデコボコが少ないものが多い
栽培方法

5月中旬~6月上中旬に植え付け、6月下旬に出芽、7月上旬に葉が開き、7月中旬から9月下旬に病害虫防除を行い、10月中旬に地上部が萎凋したら掘り上げる。掘り上げた芋は2年目までは温湿度管理しながら次シーズンまで保管する。約1kg(栽培約3年目)になったら出荷するが、3年目でも小さいときは種芋にしてもう一年栽培する。

種芋は収穫後水分の調整と表面のキュアリングを目的として予備乾燥(30度で3日)を行う。貯蔵に当たっては温度、湿度、換気、攪拌の4条件に注意しながら管理する。

温度は2年生以上の芋は8-10度、1年生の生子(きご)は1月中旬まで11度、その後10度で管理。湿度は75-85%、貯蔵初期と後期には外気の導入を重点的に行い、貯蔵中は貯蔵庫内の温湿度の均一化を図る目的で1時間に15分程度を目安に循環扇等で撹拌する。

品種特性「在来種」は病害や気象災害に弱く、冷夏や日照不足の年には黄化症が、高温年には日焼け症が発生することにより早期に倒伏するため生産が安定しないが、コンニャクマンナンの含有率とマンナン水溶液の粘度が既存の品種・系統の中でも1番といっていいほど高く、高品質であるとされている。
由来・歴史

コンニャクが古くから自然生畑(じねんじょはた)で栽培されてきた中で、加工の際に粘度が強く締まった製品ができるものを「在来種」、粘度が低く製品が作りにくいものを「備中種」と呼んで区別するようになった。なお、草型や芋の形も異なる点があり栽培中にも識別は可能である。「支那種」は大正時代に中国から商社が加工用に導入した系統であり、「在来種」「備中種」に比べ病害や障害に強く栽培しやすい。

「在来種」は1975年ころ全国で3500ha以上が作付けされピークを迎え、「支那種」もほぼ同時期に1500ha程度栽培されたが、「在来種」は1995年ころ、「支那種」は2005年ころにほぼ生産が途絶えた。それに代わって群馬県育成品種「はるなくろ」や「あかぎおおだま」の栽培面積が拡大した。

全国のコンニャク生産面積は3,639ha、57,670t(2014(平成26)年)であるが、群馬県はその大半を占めている。2023年現在の群馬県内の品種内訳は「あかぎおおだま」「みやままさり」(いずれも群馬県育成品種)がほぼ半々である。

伝統的利用法こんにゃく(練加工食品)
栽培・保存の現状群馬県のコンニャク農家は2014年時点で1442軒、うち「在来種」を栽培するのはわずか甘楽町の1、2軒のみ(いずれも70歳前後)であった。2022年に栽培者はゼロになったが、その在来種は栽培地にちなみ「秋畑在来」として群馬県農業技術センターこんにゃく特産研究センターが保存している。
調査日
  • 2016/2/9
  • 2024/1/12