在来品種データベース

「唐風呂大根」品種情報
生産地栃木県日光市足尾
作物名ダイコン
品種名唐風呂大根
学名Raphanus sativus L. var. hortensis Backer (アブラナ科)
現地での呼称からふろだいこん
写真唐風呂大根の葉 掘り上げた唐風呂大根@日光市足尾唐風呂2024-01-08 採種用母本の冬期間の管理。籾殻をまき、トタンで囲う 唐風呂大根の種莢(写真は久保田公雄氏提供) 唐風呂大根の草姿(写真は長澤美佳氏提供) 熊肉、唐風呂大根、桑の木豆の汁@日光市足尾(2023年11月、久保田公雄氏撮影)
栽培方法

足尾地域からさらに群馬県境に近い標高650mの唐風呂地区で栽培される。播種は8月上旬ころ、収穫は11月ころ。

採種用母本は、収穫した大根の中から選んですぐに植え直す。食用の大根は土に埋めて3月頃まで保存する。4月に開花し、種莢が適度に熟したら、6月末~7月にかけて熟した莢ごと屋内でつるして乾燥させる。

品種特性根部は中ぶくれの砲弾型で、尻側は細く尖る。全体の表皮は淡い赤紫色だが、先端はやや白い。また唐風呂地区以外で栽培を続けると、次第に色が薄くなるといわれている。大根の内部は白色である。肉質は締まり、水分が少なく、辛味と甘味がある。葉の中肋は扁平で赤紫色に着色する。
由来・歴史由来や歴史の詳細は不明である。明治生まれの足尾の人が足尾に鉄道が開通した大正時代に東京上野の「精養軒」に唐風呂大根を契約栽培して出荷していた(栃木資料1)ことを考えると、100年以上の栽培歴があると考えられる。また遺伝学者、西山市三氏が昭和28(1953)年に出版した著書『日本の大根』(栃木資料4)に唐風呂大根の形質の特徴を紹介している。
伝統的利用法水分が少ないため、栃木県の伝統料理「しもつかれ」の具材に適している。なます、短冊に切って塩、おろして薬味にする。ソテーや天ぷらでも美味しい。
栽培・保存の現状足尾・唐風呂地区の栽培者は80歳代の人が一人になっていたが、2017年ごろから「たねまきびと 森の扉」が栽培支援してくれるようになった。毎年栃木、群馬、東京などから10~20人農作業に参加している。2024年度から同団体メンバーの一人が足尾で栽培を開始する予定である。
消費・流通の現状自家用のみ。
参考資料
  • 栃木資料1)長澤美佳(2021)日光市在来・伝統野菜~地域で守られてきた野菜~.
  • 栃木資料4)西山市三(1953)『日本の大根』、p147.
調査日2024/1/9