在来品種データベース

「山形赤根ほうれんそう」品種情報
生産地山形県山形市風間
作物名ホウレンソウ
品種名山形赤根ほうれんそう
学名Spinacia oleracea L. (ヒユ科)
現地での呼称やまがたあかねほうれんそう
写真山形赤根ほうれんそう 山形赤根ホウレンソウ 山形赤根ホウレンソウの種子.角種と丸種 雪の下から収穫される山形赤根ほうれんそう
栽培方法

播種は露地なら9月15日ころ、ハウスなら10月10日ころ。種まきの前に畑に石灰窒素と有機化成肥料を施用して耕耘しておく。種子は鬼皮に覆われており、鬼皮をつけたまま播くと発芽に約1週間かかる。収穫は12月ころからで、年を越えると雪中収穫になり、1月中旬ころまで続く。雪中収穫したホウレンソウは糖度が最も高くなる。

4月になると花茎が抽台してくる。ホウレンソウには雄株と雌株があり、雄株の花粉が風媒で雌株の雌しべに運ばれて受粉し雌株に種子ができる。畑の株を多少間引くこともあるが花が咲くまで外見からは雄株と雌株を判別できない。形のよい株はたいてい雄株で、間引き過ぎると雌株がなくなる危険性がある。雌株は例年、全体の2割くらいしか含まれていない。

5月中下旬に開花し、種子が稔実する6月終わりから7月上旬に刈り取りを行う。種子がつくとヒワが食べに来るので畑をしっかりネットで覆う。刈り取り後、株ごとしばってイネの育苗ハウスでよく乾燥させる。湿気の多い時期だと、種子に付着した毛が湿って種子を取り出すのが困難になる。

十分に乾燥させた8月ころ、脱穀機にかけ、選別と唐箕による風選を行う。収穫した種子は複数の種子が団子状にくっついていて、また個々の種子には手に刺さる鋭いトゲがある。この種子を精米機にゆるくかけると、トゲが取れて種子が1つずつバラバラに分かれる。

種子は角種(つのだね)の中にごく少数、丸種(まるだね)が混じるが、丸種を固定させるのは困難である

品種特性東洋種で西洋種のような土臭さがなく、すっきりした風味で甘味が強い。特に根の糖度は18度近くなる。根は赤く、葉に欠刻がある。雪中でつぶれても茎葉が折れることなく、収穫して洗うと元に戻るしなやかさを持っている。湿害とべと病に弱い欠点がある。転作田で栽培すると大雨で2日水が溜まると葉が黄変する
由来・歴史山形赤根ほうれんそうは柴田家の吉男、吉美、現在の吉昭の親子三代にわたり、1927-28(昭和2-3)年ころから「山形赤根」の品質にこだわって自家採種を続けてきた。自家採種は非常に手間のかかる大変な作業で、本物の「山形赤根」を栽培し消費者に食べてもらいたいという信念がなければ続かない
伝統的利用法おひたし、汁の実。
栽培・保存の現状自家採種しながら栽培しているのは一人。
参考資料
  • 山形資料2:「どこかの畑の片すみで」(山形在来作物研究会編2007)
  • 山形資料10:山形在来作物研究会誌SEED Vol.16(2018)、江頭宏昌
調査日
  • 2013/1/23
  • 2018/10/2