在来品種データベース

「波渡なす」品種情報
生産地山形県鶴岡市堅苔沢
作物名ナス
品種名波渡なす
学名Solanum melongena L.
現地での呼称はとなす
写真波渡なす 波渡なすのがくにはトゲがある 波渡なすの草姿
栽培方法

播種は3月末から4月上旬。播種が遅いと生育が悪くなるが、外気温が低くて発芽しにくいので事前に暖かいところで催芽を行う。昔は水分を含ませた土と種子を包んだ布を入れた腹巻きを肌着の上に当てて体温で1週間ほど温めた。発芽してきたら植木鉢か畑にまくがその際、土をかけすぎないよう注意する。畑に直播きした方が生育がよいが、その場合は地面に光を通すビニールで覆って地温を温めることに留意する。

病気に強いので接ぎ木は行わない。5月の定植時にはうね幅100cm、株間は60cm間隔の1条植えにする。畑に直まきした場合は苗が育つにつれて間引きしながら株間を整える。

収穫は7月下旬か8月の盆以降から10月ころまで続く。採種するときは、形の良い2番果を10月頃まで完熟させてから採種する。

品種特性

外形は縦径は約10cm前後、横径は7~8cmの卵形で、へたは紫色。加賀野菜のナス品種「へた紫」に形態的に類似している。節間が詰まり花房が多くつくので、1株あたりの収量が多く、栽培しやすい。

果実はみずみずしく、えぐみは少ない。また果実は肉厚で、果肉体積に対して種子が少ないので可食部分が多く調理しやすい。

由来・歴史由来は不明である。また堅苔沢でも栽培している集落が中波渡と大波渡の2箇所ある。中波渡の栽培者によると100年以上栽培されてきたという。一方、大波渡地区の栽培は約30年前からという話を考えあわせると、堅苔沢では中波渡から栽培が始まったと考えられる
伝統的利用法丸焼き、素揚げ、炒めもの、煮物、味噌汁、小さい果実だと漬け物。塩ナスといって、塩蔵しておいて必要に応じて塩出しして汁物に入れる。海藻のイギスと波渡ナスを入れたみそ汁は美味しい。
栽培・保存の現状栽培者は数名ほか、小堅保育園でも教育の一環として栽培している。
消費・流通の現状主に自家用である。出荷栽培はない。
参考資料
  • 山形資料3-1:鶴岡の在来作物は60種類!(2018年3月現在)http://www.creative-tsuruoka.jp/news-info/zairaisakumotu-tsuruoka2018.html
  • 山形資料3-2:東海林晴哉(2016)Vegetable Eyes 小堅保育園の園児たちによる「波渡なすチャレンジ」日記.山形在来作物研究会誌SEED 14:2-3.
  • 山形資料3-3:食の生産現場(農業)の変容と持続可能性.伏木亨編『食の現代社会論』、農文協、p370-404.
調査日
  • 2015/9/21
  • 2018/9/15
  • 2020/9/8