在来品種データベース

「小真木大根」品種情報
生産地山形県鶴岡市小真木、海老島
作物名ダイコン
品種名小真木大根
学名Raphanus sativus L. var. hortensis Backer
現地での呼称こまぎだいこん
写真小真木大根(定規は15cm) 小真木大根の栽培風景 皮を剥いて小真木大根を干す(ビニルハウス) 皮を剥いて小真木大根を干す(屋外) 年末に八百屋で販売される
栽培方法播種は9月初め、収穫は10月末~11月上旬(遅くとも12月中)。かつては置き漬け(たくあん漬け)用で多少大きくしたが、今ははりはり漬け用に密植栽培し、根を細くしている(山形資料10-1)。
品種特性細長い白首の大根で、長さは25cm前後、直径は5,6cmの小型の品種で、横筋がある。山形資料9には「徳利形の白首」とあるように、かつて根形は下ぶくれの特徴をもっていたようであるが、現在はその特徴はバラついているか失っている。華北系大根の一種だと思われる。肉質が硬く、す入りは少ない。辛みもあるので、おろしても使える。葉はよく伸び、軟らかく葉ダイコンとしても利用可能である。(山形資料9および10-2参照)
由来・歴史

由来は不明である。江戸時代の栽培記録はないが、大正以前の郷土民謡には「庄内名物 寺田餅、小真木大根、民田茄子云云」と謡われている(山形資料9)。

15年前(2006(平成18)年ころ)までは辛味大根として出荷していたが、辛味大根専用品種が流通して差別化が困難になり、今は辛味大根として生では出荷しておらず、はりはり漬け用の干し大根を出荷している

伝統的利用法たくあん漬け、はりはり漬け。辛みがあるので、薬味としても利用された。また葉は軟らかいので、葉も食用にされる
栽培・保存の現状山形資料10-2および10-3によると、1927(昭和2)年には栽培面積が2町5反(2.5ha)、反収7000本(約5t)あったが、1991(平成3)年には栽培農家は35戸、面積37a、生産量約15t、1997年には栽培農家は十数戸になったという。2021年11月現在、農協出荷している栽培者は鶴岡市海老島に1名、小真木に4名いる。自家用だけなら他にも栽培者はいる。
消費・流通の現状現在の需要ははりはり漬けが100%で、農協を通じて漬物屋に流通している。
参考資料
  • 山形資料9:青葉高(1976)「北国の野菜風土誌」東北出版企画
  • 山形資料10-1:佐々木壽(2011)「東北ダイコン風土誌」東北出版企画
  • 山形資料10-2:大野博「平成の在来野菜①小真木大根(上)」荘内日報1998年5月23日
  • 山形資料10-3:大野博「平成の在来野菜②小真木大根(下)」荘内日報1998年5月30日
調査日
  • 2021/11/8
  • 2021/11/15