在来品種データベース

「畔藤きゅうり」品種情報
生産地山形県白鷹町広野
作物名キュウリ
品種名畔藤きゅうり
学名Cucumis sativus L. (ウリ科)
現地での呼称くろふじきゅうり
写真畔藤きゅうりの収穫果実 畔藤キュウリの完熟果 畔藤胡瓜 畔藤胡瓜の幼果
栽培方法

播種の適期は3月上旬~中旬。化学肥料で栽培すると苦味が出るので、有機質肥料を9割以上にする。うね幅は両側の通路を含めて160~180cm、株間は50~60cm。

飛び節成性なので、主づるに果実は3~4本しかならない。本葉6枚目から側枝第1節に雌花が付くので、側枝の第2節で摘芯する。本葉が7~8枚になったらべと病予防のため、下から本葉を2枚、葉柄といっしょに切り落とす。また主づるの5節目まで(本葉5枚目まで)の側枝もかきとる。18~20節目、手の届くところで主づるを摘心する。主づる摘心後、収穫となるが60日間収穫可能なように栽培管理する。

採種するときは、成性が強い、つまり着花習性が規則的な個体で、まっすぐで曲がりのない尻の太い果実、着果後45日以上成熟させてから採種する。

品種特性果実はシャリ感があり、甘味と旨みを感じる。サイズは直径3cm程度、長さ30~35cmくらいあり、いわゆる三尺キュウリの一種だと考えられる.果実表面にあるイボは黒色である。また低温短日条件で育苗しないと雌花がつきにくくなるので、遅くとも3月の彼岸前に播種する必要がある。
由来・歴史

畔藤は古い地名にちなむ。畔藤きゅうりは地区の篤農家、佐藤伊六、川井、川井(本家)の3名がお伊勢参りの道中、農家に宿を取った。たまたまその農家は野菜農家で障子のようなものに油を引く夜業をしていたので、聞いたところ、野菜の苗を育てる温床に使うとのことだった。それに興味を持った彼は一晩中野菜作りの話に花が咲き、キュウリの種子をもらうことになり、温床作りと育苗技術を習得して帰途についた。

そのキュウリは長い間、川井と川井(本家)だけで門外不出として栽培していた。昭和に入り孫の代になると、親戚知人に種子が内緒で行き渡って作付けが拡大していった。昭和10(1935)年代に入ると八百屋の店先で畔藤きゅうりは賑わうようになり、戦後、畔藤地区に青果市場ができて遠くは米沢市、南陽市赤湯、川西町小松方面から業者が買い付けに来ていたという。

しかし昭和30(1955)年代に収量性の高いF1の短形キュウリが登場し次第に市場で人気を博すようになると、昭和50(1975)年代には畔藤きゅうりは市場から姿を消した。種子保存のために、畔藤きゅうりの栽培をやめていた地元の1農家が1963年に栽培を復活して2020年代初頭ごろまで続けてきた。

伝統的利用法生食。漬物。
栽培・保存の現状栽培者は1名。
消費・流通の現状自家用と直売所。
参考資料
  • 山形資料2:「どこかの畑の片すみで」(山形在来作物研究会編2007)
  • 山形資料4:山形在来作物研究会誌SEED Vol.18(2021)、江頭宏昌
調査日
  • 2003/7/26
  • 2008/7/5
  • 2009/7/6
  • 2018/9/19
備考山形おきたま伝統野菜振興協議会が認定する「山形おきたま伝統野菜」の一つ。