在来品種データベース

「鵜渡川原きゅうり」品種情報
生産地山形県酒田市亀ヶ崎
作物名キュウリ
品種名鵜渡川原きゅうり
学名Cucumis sativus L.
現地での呼称うどがわらきゅうり、めっちぇこきゅうり
写真昔はこのように地這で栽培した 昔は飛節成だったが、昭和50年代ころから節成性の系統に置き換わった 現在はトンネル栽培 鵜渡川原きゅうり 鵜渡川原きゅうりの完熟果(シベリア系のネットが入る) 鵜渡川原きゅうりの果実サイズ 鵜渡川原キュウリ
栽培方法播種は4月20日前後。定植は4月下旬から5月上旬ころ。収穫期間は6月下旬~7月末。
品種特性

日本では珍しいシベリア系のピクルス漬けに向く小型のキュウリである。果実は半白で、表面のイボ(毛)は褐色で、その断面は三角形に近い形になる。長さは最大18cm程度。一般に10cm以下を収穫する。あまり小さすぎると酒田キュウリのパリパリした食感が乏しくなる。8~9cmのサイズが最も歯触りがよい。

昭和39年ころ、食生活の洋風化に伴い、日本全国の加工業者がキュウリのピクルス漬けを作ろうと、欧米からピクルス用キュウリ品種を取り寄せては試作を重ねたことがあるが、収穫期が梅雨の時期と重なることから、ことごとく「ろ菌病」に侵されてしまったが、東アジア原産の酒田キュウリはこの「ろ菌病」に強い貴重な遺伝資源といえる。

また、水害にも強く、奇形果などを早めに摘果しながらツルを伸ばせば、旺盛に生育と着果を続けるのもこのキュウリの大きな特徴である。

他のキュウリが200m以内で栽培されていない畑で収穫した果実から採種している。

由来・歴史

青葉高著「北国の野菜風土誌」では「出羽府土略記」(1762)にある飽海の産物「鵜渡川原瓜」が鵜渡川原キュウリの祖先にあたると推測して江戸時代にシベリア方面から入った可能性を述べている。

しかし2006年4月、亀ヶ崎在住で「亀ヶ崎史」の編纂委員を務めた郷土史家の東根敏夫氏(94)に、江頭と荘内日報記者が昔の鵜渡川原地区の野菜の話を聞いていたおりに、東根さんが、日露戦争の従軍兵士から「自分が中国東北地方から土産として持ち帰った」という証言を聞き出していたことが明らかになった。

かつては鵜渡川原や大町などの複数の小地名を冠して鵜渡川原キュウリや大町キュウリなどと呼ばれていた。戦後間もないころ、青葉高氏が全国的に知名度の高い酒田の名を付けて酒田キュウリと呼ぶことを提唱して全国にこのキュウリを紹介した経緯がある。しかし現在まで栽培が続けられてきた鵜渡川原地区では今でも、酒田キュウリではなく、鵜渡川原キュウリと呼ばれている。一方、販売に際しては、JA庄内みどりが「めっちぇこきゅうり」の商標を取って流通している。

伝統的利用法塩漬けにして、しなべキュウリのような古漬にするのが伝統的な加工法である。現在は辛子漬けやビール漬けのような浅漬けに加工されて流通している
栽培・保存の現状2021年現在、栽培者は数名。生産者が高齢になったため、いつまで栽培できるか不明。
消費・流通の現状生のキュウリはJA庄内みどり、みどりの里山居館。12月~翌年5月ころまでは奈良漬も加工販売している。
継承の現状後継者は不在
参考資料山形資料7:「おしゃべりな畑」(山形在来作物研究会編2010)
調査日
  • 2008/7/3
  • 2015/11/5
  • 2019/7/22
  • 2021/7/4
備考種子は原種に近い状態で確保しているが、生産者がいなくなったとき、どのように保存したらいいのか困っている。