在来品種データベース
| 生産地 | 山形県鶴岡市宝谷 |
|---|---|
| 作物名 | カブ |
| 品種名 | 宝谷かぶ |
| 学名 | Brassica rapa L. var. rapa (アブラナ科) |
| 現地での呼称 | ほうやかぶ、ほうやかぶら |
| 写真 | |
| 栽培方法 | 月山山麓の集落、鶴岡市宝谷(ほうや)地区で焼畑栽培される。8月のお盆の頃に焼畑の火入れと播種を行ない、霜が降りて以降の11月中下旬頃の新月かそれに近い日に収穫する。 |
| 品種特性 | 宝谷カブは幅3-4cm、長さ20cmくらいの青首の白い長カブで腰が曲がった形をしている。肉質が硬い。すりおろすと辛みが強く、火を通すと辛みは消え、甘味が出てトロッとした食感に変わる。しかし火を入れすぎると苦味が出る。 |
| 由来・歴史 | 鶴岡市宝谷地区に天保堰(てんぽうぜき)という農業用水路がある。その開削(1832(天保3)年-1838(天保9)年)の際に、宝谷村の人が宝谷かぶらを持って行ったら、他の村の人から非常に喜ばれたとの言い伝えが「宝谷史」に紹介されている。このことから少なくとも200年近い歴史を持っていることが推察される。 宝谷の戸数の約4割は昭和30年代まで炭焼きを行っていた。炭にする材を伐採した傾斜地を利用して焼畑を行い、そこで宝谷カブを作り、冬の食べ物として利用してきた。貯蔵したカブを俵に詰めて、寒ダラ(*)が美味しくなる季節に鶴岡方面へ売りに行き、正月の小遣いを得た。 (*)寒ダラ汁あるいはどんがら汁という、鶴岡の郷土料理で真鱈の汁物の具材として宝谷かぶが重宝された。 1980年前後に生産部会も作られたが、出荷の際にカブのひげ根を取り除くのに手間がかかり、もうけに見合わないのでいつしか作る人がいなくなってしまった。2004(平成16)年には畑山丑之助氏一人だけが種子保存用に少量栽培するだけになっていた。 2005年に畑山氏が焼畑を復活し、2006年に蛸井弘氏が事務局となり「宝谷蕪主の会」が発足した。蕪券(購入したお金が生産者に納められる仕組み)を発行して宝谷かぶの生産を支えようという試みである。蕪券購入者は火入れと種まき、収穫体験、試食体験に参加できるとともに、収穫したカブの一部をもらって帰ることができる。2010年には宝谷かぶのレシピ集が作られた。 宝谷かぶ主の集いは2010年まで続いたが、2011年以降は地元に宝谷カブの生産者組織ができたため「宝谷蕪主の会」は解散し、常連の蕪主たちがボランティアで支援するようになった。畑山氏が90歳目前になり、宝谷カブの継承が危ぶまれたが、孫の畑山千津さんとひ孫の畑山峻氏が後継したことで栽培が続いている。 |
| 伝統的利用法 | 塩漬けや粕漬けといった漬物や鱈汁の具材としての利用が伝統的な食べ方である。近年は特に葉つきのまま小ぶりのかぶを天ぷらにするのが人気であるほか、ピザのトッピング、すりおろして雪見そばにするなどの食べ方も知られるようになった。カブのサイズがまだ小さいとき、中心の若い葉を数枚つけたカブを丸ごと味噌仕立てで食べる蛸煮と呼ばれる食べ方がある。煮ると、葉もカブもトロっとした食感が美味である。 |
| 栽培・保存の現状 | 宝谷地区の畑山家1軒のほか、市内に2、3名の栽培者がいる。 |
| 消費・流通の現状 | 市内飲食店が中心。 |
| 継承の現状 | 畑山丑之助氏のひ孫、畑山峻氏が宝谷かぶを継承している。 |
| 参考資料 |
|
| 調査日 |
|