在来品種データベース

「二子さといも」品種情報
生産地岩手県北上市
作物名サトイモ
品種名二子さといも
学名Colocasia esculenta (L.) Schott (サトイモ科)
現地での呼称ふたごさといも
写真二子さといもの基部 二子さといもの畑 掘り上げた二子さといもの草姿 販売用の二子さといも 集荷された二子さといも 1株から採れた二子さといも
栽培方法

3月下旬、芋出し(貯蔵庫から芋を出す)

4月上旬、伏せ込み(芋を並べて芽を出す)

5月上旬、植付(芽を出した種芋を植える)

6月中旬、土寄せ

7月下旬、かん水

9月上旬~10月下旬、収穫

11月上旬、種芋貯蔵

(岩手資料9)

品種特性

品種‘二子さといも’は、他のサトイモにない強い粘り気と味の濃さ、滑らかな食感が特徴である。また軟らかいが煮崩れしにくい。

生育初期の葉柄基部は薄いワイン色であるが、収穫期には葉柄のほぼ全体が濃い黒赤色ないし黒紫色となる。

また孫芋があまり肥大しない子芋専用品種なので子芋は粒ぞろいのよい大玉になるが、収量は少ない。さらに品種‘土垂’に比べて種芋の貯蔵性が悪く、収穫量の2割以上を種芋用に保存するため出荷量も限られてしまう。(岩手資料10)

岩手資料7で、著者の阿部は、‘二子さといも’は、黒軸品種群に属する岩手県の古い品種‘赤桿’と特性が一致することから、同一品種であるのは明らかだと考察している。

由来・歴史

岩手県北上市二子地域に古くから品種改良をせずにこの地域だけで栽培されてきた在来のサトイモである。1831(天保2)年に書かれた「二子物語」に「芋」という言葉が記されており、これが‘二子いも’の文献上の初出である。一説には300年あるいはそれ以上の歴史を持つともいわれているが、その由来は分かっていない。

二子村は鎌倉時代の始めに源頼朝の庶子とされる和賀忠頼氏の所領となり、以降豊臣秀吉から所領を没収されるまでの380年間、二子城を居城とする和賀氏の治世が続いた。その後も二子村として南部藩に属し、明治になっても二子村として持続してきた(岩手資料7)。現在、二子町になっても二子町振興協議会によりマスコットキャラクター「いも丸くん」、「かしらジィ」、「ズンボちゃん」のいも丸くん家族を用いたPR活動も積極的に展開されている。

伝統的利用法

「いものこ汁」と「ズボいも」。

「いものこ汁」は芋の美味しさを味わうため、ニンジン、ゴボウ使わずに仕上げるのが特徴で、鶏ガラを使用した醤油味の汁にする。

「ズボいも」とは孫芋を意味すると同時に、孫芋の料理も意味する。孫芋の皮をむき、めんつゆや削り節、ネギを入れて和えたものである。調味料を変えて楽しむ家庭が多い。

(以上、岩手資料8)

栽培・保存の現状生産者、関係機関・団体からなる「二子さといも協議会」が2017(平成29)年6月に設立され、会員数は133名(2021(令和3)年10月現在)いる(岩手資料8)。
消費・流通の現状

販売主体はJAと個人とその他がある。JAによる販売では、県内市場や全農を通じて県内の量販店への流通がある。またJAから個人への注文販売を行ったり、イオンリテールを通じてイオン店舗やインターネットでの販売を行ったりするような流通形態がある。

個人による販売では、市場を通して県内量販店へ、また個人への注文販売や産直への流通形態がある。ふるさと納税返礼品にも対応している。その他の販売ではGIのPR事業でデパートや店舗、イベントでの流通がある。友好都市(流山市、石垣市)等でのイベント販売も行なっている。以上、岩手資料8による。

継承の現状2017年、産地面積は34haであるが、高齢化により10年後には27haに減少することが見込まれている(岩手資料8)。
参考資料
  • 岩手資料7:北上市在来サトイモ‘二子いも’のルーツに関する仮説.(阿部弘2009、岩手農研センター報告9:77-90)
  • 岩手資料8:「二子さといもの概要 協議会の活動について」(二子さといも協議会 北上市農林部農業振興課)
  • 岩手資料9:さといも栽培
  • 岩手資料10:(GI登録の)明細書(様式1)(令和3年6月9日更新)
調査日2021/10/22
備考

2018(平成30)年、日本地理的表示保護制度(GI)の登録を行なった。(岩手資料10)

「二子さといも協議会」は、GIフェスティバルへの参加、生産者向けの技術講習会や種芋貯蔵研究、地域の子どもたちに向けた体験講座や学校給食での生産者交流、実需者・消費者へのPR強化を行っている。(岩手資料8)