「札幌大球」品種情報
| 生産地 | 北海道札幌市、当別町、石狩市厚田、岩見沢市、日高市 |
| 作物名 | キャベツ |
| 品種名 | 札幌大球 |
| 学名 | Brassica oleracea L. var. capitata L. (アブラナ科) |
| 現地での呼称 | さっぽろたいきゅう |
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| 栽培方法 | 播種は5月20日前後~6月初め。72穴のセル苗育苗も行なわれている。苗の生育がそろわないので、定植のときに大きい苗を選んで植える。定植は6月20日前後で、うね幅、株間とも1m。8月に結球しはじめ、10月下旬から11月初めに収穫。つまり播種から収穫まで5ヶ月(150日)かかる。 近年、8月、9月の気温が高く、雨が多いと成長が早くなり、キャベツに割れが入ったり、黒腐れ病が発生しやすくなっている。 |
| 品種特性 | 札幌大球は自家採種でつないできた農家もあるが、一般的には原育種園が育成した札幌大球1号から4号のうち、最晩生品種の札幌大球4号が利用されている。 1球あたりの重量は6~20kg、球径が40~50cmにもなる。形状は扁円形。葉数は通常のキャベツ品種と同様、約70枚なので、葉の1枚が大型肉厚で繊維質もしっかりしている。 |
| 由来・歴史 | 北海道資料6によると、わが国でキャベツが正式に登場するのは、北海道開拓使が米国から種子を導入し、札幌官園などで試作を始めた明治初期である。明治後期には道内全体で1500ha以上のキャベツが栽培された。品種としては‘アーリーサマー’、‘オータムキング’などの10品種程度。 札幌大球の由来についてはよく分かっていない。札幌大球の名は、1918年に種苗商が発行した「札幌農園報」が最古であるが、1900~1910年ころの種苗カタログにはその祖先系統と思われる‘札幌甘藍’や‘札幌大玉’の名前がある。これらが1930年代には作付が1000ha以上となるような北海道の主要品種になった。 一つの説として、従来の‘札幌甘藍’に1903年ころに販売された‘バンダーゴー’(北海道資料7)のような米国由来の大玉品種が交雑し‘札幌大玉’のような品種が育成された可能性もある。このように大型化の改良を重ねながら作付が拡大していった可能性が考えられる。 |
| 伝統的利用法 | 北海道資料6によると、北海道は冷涼なため、畑での栽培は4月下旬から10月下旬くらいまでの半年間であるため、11月からの半年間は加工・貯蔵に頼らざるをえない。貯蔵用の野菜のひとつとして重宝されたのが札幌大球である。 1個が大型なので、風雪や低温耐性があり、仮に外側が凍結しても内部は食べられることから貯蔵の歩留りが良い。冬期間の食生活を支えるだけでなく、遠洋漁業の漁船にも積み込まれるなど、貴重なビタミン源となった。 発酵漬物にしても葉が肉厚のために柔らかくなりすぎず歯ごたえの良い食感があるため、「にしん漬け」や鮭やハタハタの「いずし」など、魚と野菜を組み合わせた漬物の原料として不可欠である。 甘味やみずみずしさの特徴を生かして、お好み焼きやロールキャベツなどのさまざまな料理にも利用される。 |
| 栽培・保存の現状 | 2007年には15戸だったのが、2013年には5戸(1.4ha)に減少(北海道資料6)。現在も、札幌市、当別町、石狩市厚田、岩見沢市、日高市に計4,5軒の栽培者がいる。 |
| 消費・流通の現状 | 漬物加工会社、一部、生鮮食料品店などに出荷。 |
| 継承の現状 | 各種団体により、札幌大球の見学ツアー、試食会、料理教室などが行なわれている。 また、札幌伝統野菜「札幌大球」オーナー制度事務局が、にしん漬けなどの詰め合わせをオーナーに届ける活動を行なっている。 |
| 参考資料 | - 北海道資料6)「味の箱船」調査レポート「札幌大球」 (2014年2月8日(再調査) スローフード・フレンズ北海道 三部英二)
- 北海道資料7)新舶来米国産甘藍バンダーゴー、農家の金庫第38号17ページ(1903(明治36)年12月)
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| 備考 | スローフードインターナショナルの味の箱船「アルカ」に2015年1月30日に認定された。 |