在来品種データベース

「三関せり」品種情報
生産地秋田県湯沢市
作物名セリ
品種名三関せり
学名Oenanthe javanica (Blume) DC.
現地での呼称みつせきせり
写真三関せり 三関せり 三関せり 三関せりのお浸し 三関せりのせり鍋 三関せりの収穫 三関せりの根
栽培方法

湯沢市三関地区は東の連山から雄物川へ広がる扇状地にあり、古くから良質で豊富な伏流水を利用する栽培を行ってきた。

6月上旬に親株づくりを行なう。前年度の栽培株から良質な株を選抜して、苗床に植え付けて、ランナーの生育を促す。

夏秋採りは7月、秋冬取りは9-10月にランナーを採取し、本畑に植える。

収穫期間は露地栽培は8月~12月、ハウス栽培は11月中旬~3月下旬。

収穫したせりを集落の伏流水で何度も洗って土や砂を落として出荷する。

(秋田資料3)

品種特性

三関セリの一番の特徴は白く長い根にあり、根も食用にする。地域に自生していたせりから長い時間をかけて選抜された品種で、葉や茎の色と香りが良好で、爽やかな味がある。

(秋田資料3)

由来・歴史

三関村農会誌に「元禄年間に堰(せき)の傍らに繁茂していたセリを食した」、「あるとき農民が、堰の掃除中に色も香りもよく、よく伸びるものを見つけ試作したところとても良い成績だったため、そこから村人に広がり苗代で栽培するようになった」と記されている。当時の売り先は隆盛を極めた院内銀山であったが、銀山閉山後も品質の良さと名前が県内外に知れ渡っていた。

湯沢市三関地区は明治22年に関口村、上関村、下関村の3つが合併してできた旧三関村エリアである。昭和35年の調査では関口系、下関系、水上系、本内系、戸沢系と集落ごとに色や草丈などの形質が異なる系統があった。昭和40年代には品質と収量の両面から系統選抜が行われ、「改良三関」で統一され、農協を通じて東京出荷も行われるようになった。(秋田資料3)

伝統的利用法鍋もの。お浸し。天ぷら。
栽培・保存の現状三関せり出荷組合の組合員は45名。2018(平成30)年に出荷量は50tを越え、出荷額が1億円を超えた。
消費・流通の現状鮮度が維持できるよう、主に県内に流通している。一部首都圏のデパートやアンテナショップでも販売している。
参考資料秋田資料3:あきた郷土作物研究会 https://www.akikyo.net/%E4%B8%89%E9%96%A2%E3%81%9B%E3%82%8A-1/
調査日
  • 2014/11/10
  • 2020/2/21
備考

秋田県では以下の3つの条件を満たしたものを「あきた伝統野菜」として紹介している。

1.昭和30年代以前から県内で栽培されていたもの。

2.地名、人名がついているなど、秋田県に由来しているもの

3.現在でも種子や苗があり、生産物が手に入るもの