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「あかまる」品種情報

生産地北海道滝上町
作物名日本ハッカ
品種名あかまる
現地での呼称あかまる
写真あかまるの草姿 収穫した茎葉を干す あかまるのエッセンシャルオイル製品
栽培方法秋に種根を植え付ける。9月上旬の開花はじめころに朝露の乾いた午前中に茎葉を地際から刈取り収穫し、乾燥させる。茎葉を蒸してハッカ成分を抽出した後の茎葉は有機質肥料として畑に還元する。比較的連作に強い作物である。
品種特性「あかまる」は1924(大正13)年に育成された和種はっかの1品種である。北海道資料10によると、10aあたり生草重は1730kg、収油量3.1kgである。現在主流品種の一つ、「ほくと」は3880kg、収油量18.2kgなので、収量からみれば、生草重は2分の1以下、収油量は6分の1程度しかない。しかし、香りの特徴が甘く温かみを感じる清涼感を持つのが特徴である。
由来・歴史「あかまる」は1924(大正13)年に育成された和種ハッカ品種である。北海道のハッカ生産が広がり始めたのは、1891(明治24)年に山形出身の屯田兵・石山伝兵衛氏が旭川市永山で栽培に成功したことに始まる。後に世界一のハッカ生産を誇った北見市で栽培が始まったのは1902(明治35)年である。昭和14年に世界市場の7割、栽培面積2万ha、取卸油700t以上を生産した。戦時下の1940年には7割減反されて以降、戦後もブラジル産ハッカや合成ハッカの出現で衰退し、1971年の輸入自由化で壊滅的な打撃を受け、1983年に北見ハッカ工場は閉鎖した(北海道資料10)。
滝上町では1910(明治43)年から栽培が始まり、現在、栽培農家7戸の栽培面積は10ha、生産量は全国の95%を占めている。
伝統的利用法ハッカ脳やハッカ油は医薬品、希少品、歯磨き粉などの香料として用られてきた。‘あかまる’のエッセンシャルオイルは他のハッカ油にない特徴を活かしたハーブティーやアルコール飲料の香料としても利用されている。
栽培・保存の現状滝上町の生産戸数7戸のうち、6戸は生産性の高い‘ほくと’あるいは‘北海JM23号’を栽培するが、‘あかまる’を栽培しているのは1戸のみ。
‘あかまる’栽培を復活したのは株式会社りんねしゃの飯尾純市氏である。国内唯一の除虫菊生産とそれを原料にした蚊取り線香を作ってきたが、北海道で除虫菊栽培候補地を探していたときに偶然、野良ばえの‘あかまる’ハッカを発見し、その香りに魅了されたという。
消費・流通の現状愛知県のりんねしゃ店舗、オンライン通販、北海道紋別郡滝上町のレストランアリスを中心に、志を分かつ消費者団体で販売
継承の現状株式会社りんねしゃが栽培を続けている。
参考資料北海道資料9)五十嵐龍夫著(2015)北海道での改良品種と「ほくと」の特性、はっかの栽培技術.特産種苗21号:53-60
北海道資料10)伊藤由起子(2019)国産ハッカの歴史、aromatopia 154:10-15。
調査日2021/10/10