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ツルアズキ [Vigna umbellata (Thunb.) Ohwi et Ohashi ]

種子
種子
種子
種子
種子 - JP 81637
種子 - JP 81637
花
花
莢
莢
莢
托葉
幼植物 - JP 81639
幼植物 - JP 53836
種子 - JP 53836
種子 - JP 81638
種子 - JP 109669
種子 - JP 110715
幼植物 - JP 81639
種子 - JP 81639
種子 - JP 210802
幼植物 - JP 53836
解説
- 日本における状況と農業生物資源ジーンバンクからの情報
- 以前は南西日本でツルアズキの栽培がみられたようである(野田. 1951)。ツルアズキは,長崎県の対馬では「メナガ」・五島では「ササゲ,カニノメ」,山口県では「カニノメ」,鹿児島県では「バカアズキ」,鳥取県では「カゲアズキ」などと呼ばれていた (野田 1951,中山・Bhatti. 1994,福岡ら.1994,友岡.1996)。しかし,最近では日本でのツルアズキの栽培はほとんどみられなくなってしまった。これまでにMAFFの国内探索によって消滅寸前のツルアズキ数点が収集された。統計によれば1991年には,15,536 t のツルアズキが,アズキの代用品として主にタイ (12,938 t)やミャンマー (1,700 t)から輸入された(雑豆輸入基金協会 1995)。
- Duke (1981)によれば,ツルアズキは東南アジアや太平洋の島々で広く裁培されているという。筆者は,北タイを中心に在来マメ類の収集を行ったことがあるが,ツルアズキの伝統的栽培はほとんど見かけず,まれに市場で売られている程度であった。タイでもツルアズキの栽培は急速に減少しているものと思われた。一方,日本などに輸入する目的での栽培がタイ東北部の Loei県を中心に1960年代に始まった(Arwooth 1982)。タイ北部チェンライの市場で未熟莢を枝豆のように茹でて塩味を付けて売られていた。売っていた人の話では,タイ北部に住む山岳民族の伝統的利用法であるとのことであった。
- 起源
- ツルアズキは東南アジアで野生のVigna umbellataから栽培化されたものと思われる。
- ツルアズキの野生型の分布範囲は,東北インド,ミャンマー,タイ,ラオス,ヴェトナムである (Ohashi et al. 1988)。
- 分類
- ツルアズキはササゲ属(Vigna)アズキ亜属(Ceratotropis)に属する一年生草本である。以前はインゲンマメ属 (Phaseolus)に入れられていたことがあった。Vigna 属は,近縁のPhaseolus 属とともに Phaseolus-Vigna complex と呼ばれる分類学的に複雑な分類群を形成している。Verdcourt (1970) は, Phaseolus 属をアメリカ起源で花柱がコイル状に3回程度回転し荒い網目模様のない花粉粒をもつ種に限ることを提案し,Phaseolus 属の概念を明確にした。これに伴って Vigna 属の概念は広がり,ツルアズキを含むいくつかの種が Phaseolus 属から Vigna 属へ移された。Marechal ら (1978) は,Verdcourt の提案を受け入れ Phaseolus-Vigna complex の新分類体系を発表した。彼らの新分類体系が,現在最も広く受け入れられている。
- 彼らの分類によれば,Vigna umbellata には2つの変種が記載されている。Vigna umbellata var.umbellata は栽培種ツルアズキである。Vigna umbellata var.gracilisはツルアズキの祖先野生種と考えられる種である。これに対してTateishi (1985)は,Marechal ら(1978)が記載したV.umbellata var.gracilisはV.minimaに含まれるとし,またインドシナに分布する V.umbellataの野生種は栽培種との区別点が明確ではないので分類単位としては扱わないとする考えを示した。2n=22.
- 特徴
- ツルアズキはアズキによく似た形態的特徴をもつが,以下の点での相違が顕著である。アズキの種子のへそは盛り上がらないが,ツルアズキ種子のへそは盛り上がる。アズキの花は淡黄色であるが,ツルアズキの花は黄金色である。アズキの莢は横向きにつくが,ツルアズキの莢は下向きにつき垂れ下がる。
- 利用
- 一般には完熟種子を茹でてご飯に混ぜて食べたり,お菓子にしたりすることが多い。
- 参考文献
- Arwooth N.L.1982. Agronomic aspects of grain legumes farming. In "Grain legumes production in Asia" pp.247-260.
- Duke,J.A. 1981. Handbook of legumes of world economic importance. Plenum Press, New York.
- 福岡修一・M.M.C.Manawaprema・奥野員敏.1995. 五島列島における雑穀類・マメ類の探索収集.植物遺伝資源探索導入調査報告書.Vol.11: 21-26.
- 野田愛三. 1951. 在来種に関する研究.山陰地方におけるツルアズキの研究(第一報).日本作物学会紀事 第21巻 第2号 pp.134-135.
- 中山博貴・M.S.Bhatti.1995. 長崎県対馬における在来作物の調査と収集.植物遺伝資源探索導入調査報告書.Vol.11: 11-20.
- Ohashi,H., Y.Tateishi, T.Nemoto and Y.Endo. 1988. Taxonomic studies on the Leguminosae of Taiwan III. Sci. Rep. Tohoku Univ. 4th ser. (Biology) 39: 191-248. p.245-246.
- Tateishi,Y. 1985. A revision of the Azuki bean group, the subgenus Ceratotropis of the genus Vigna (Leguminosae). Ph.D. Thesis, Tohoku University, Sendai, Japan.
- 友岡憲彦. 1996. 鹿児島県における在来作物の収集と調査.植物遺伝資源探索導入調査報告書.Vol.12: 9-19.
- Verdcourt,B. 1970. Studies in the Leguminosae - Papilionoideae for the "Flora of Tropical East Africa" : IV. Kew Bulletin 24 : pp.558-560.
- 雑豆輸入基金協会 1995. 輸入豆類図鑑 .