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ベニバナインゲン [Phaseolus coccineus L.]

解説

日本における状況と農業生物資源ジーンバンクからの情報
ベニバナインゲンは,日本では東北地方や長野県の高原など冷涼な地域で栽培されている。ハナマメやオイランマメなどと呼ばれることもある。
赤花の品種と白花の品種があり,両品種をいっしょに作ることが多いようである。このマメは江戸時代後期にオランダ人によって日本に導入されたと考えられている (星川 1981)。
最初は鑑賞用の植物として利用されていたらしい。完熟種子は煮豆や甘納豆として食べられている。若莢が野菜として用いられることもある。
起源
ベニバナインゲンは中央アメリカのおそらくメキシコ付近で栽培化されたと考えられている。メキシコの Tehuacan 遺跡からは2000年以上前の栽培化されたベニバナインゲンの種子が,また同じくメキシコの Ocampo 遺跡からは7000年以上前の野生の P.coccineus の種子が発見されている (Kaplan,1965, Smartt 1990 から引用)。
分類
Phaseolus 属は近縁の Vigna 属とともに, Phaseolus-Vigna complex と呼ばれる分類学的に複雑な分類群を形成している。
Verdcourt (1970) は, Phaseolus 属をアメリカ起源で花柱がコイル状に3回程度回転し荒い網目模様のない花粉粒をもつ種に限ることを提案し,Phaseolus 属の概念を明確にした。これに伴って Vigna 属の概念は広がり,いくつかの種が Phaseolus 属から Vigna 属へ移された。
Marechal ら (1978) は,Verdcourt の提案を受け入れ Phaseolus-Vigna complex の新分類体系を発表した。彼らの新分類体系が,現在最も広く受け入れられている。この分類体系によれば, Phaseolus属には約30種が記載されている。
ベニバナインゲンが属する Phaseolus coccineusには,4つの亜種が認められている。それらは, subsp.coccineus, subsp. obvallatus, subsp. formosus および subsp. polyanthus である。2n=22。
形態的特徴
ベニバナインゲンは湿潤な熱帯高地の多年生マメ科植物である。霜にあたると枯死するため,温帯の国では一年生作物として栽培されている。
普通つる性で,草丈は4m以上になる。花は,赤または白。赤花の品種は紫地黒斑種子,白花の品種は白種子である。種子の大きさは,1.8-2.5 x 1.2-1.6cm。発芽は地下子葉型。
利用
温帯の国では,柔らかい若莢をスライスして料理に使われることが多い (Purseglove,1974)。中央アメリカでは未熟,完熟種子を食べるほか,塊根を茹でて食べることもある。時に,鑑賞用として栽培される。
参考文献
星川清親 1981. ベニバナインゲン 「新編食用作物」 pp.495-497. 養賢堂.
Marechal,R., J.M.Mascherpa and F.Stainer. 1978. Etude taxonomique d'un groupe complexe d'speces des genres Phaseolus et Vigna (Papilionaceae) sur la base de donnees morphologiques et polliniques, traitees par l'analyse informatique. Boissiera 28 : 1-273.
Purseglove, J.W. 1974. Phaseolus coccineus In "Tropical Crops : Dicotyledons." London : Longman. pp.295-296.
Smartt,J. 1990. Grain Legumes. Cambridge University Press. pp.85-139.
Verdcourt,B. 1970. Studies in the Leguminosae - Papilionoideae for the Flora of Tropical East Africa : IV. Kew Bulletin 24.