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カーネーション [Dianthus caryophyllus L.]
解説
- 起源
- カーネーションはナデシコ科ダイアンサス属の一種に分類される。ナデシコ科の植物は、約80属2000種以上が北半球の温帯を中心に熱帯から寒帯まで広く分布している。
- ダイアンサス属に含まれる約300種はヨーロッパ、地中海沿岸地域、アジア、熱帯および南アフリカの山地などに自生する。現在の栽培種の原種や栽培起源は明確ではない。
- ダイアンサス属は種間交雑が容易に行えるため、おそらく原種D. caryophyllus とD. plumarius, D. caesius, D. chinensis 等との多元的な交雑や選抜が長年にわたって繰り返され、品種改良が進められてきたものと考えられている。
- 特徴
- カーネーションの原種D. caryophyllus は南欧、西アジア原産の半耐寒性多年草である。茎の基部は木化し、草丈は30~60cm で上部で分枝し、数個の花をつける。
- 原産地の開花期は6~8月の一季咲きである。葉は先の尖った長線形でワックスでおおわれ、節から対生する。
- 花は頂生し、花弁は5枚で幅は広く先端に刻みがある。雄ずいは10個で花柱は2個、花色は桃色~肉色で芳香がある。がくは円筒形で、先端部が5裂し、基部に数個の小苞をつける。
- 園芸種では重弁で四季咲きのものが多く、花色、花形も多様になり、多くの品種群が分化している。
- 利用
- Caryophyllus の名が示唆するように、チョウジのような香りは、古くはワインの風味付けに使用されてきたといわれている。現在では観賞用として利用されている。観賞用としての用途の第一は切り花用である。
- 花房の特徴から1茎1花(スタンダード)と1茎多花(スプレー)に分かれ、花のサイズ、開花、生育特性、花色、芳香性など多様に分化している。また、花壇用、鉢花用としても、それぞれの特性に応じた分化がある。
- 参考文献
- 植物遺伝資源集成
- 最新園芸大事典