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ねぎ [Allium fistulosum L.]
解説
- 起源
- ネギの自生地は知られていない。最も近縁な野生種Allium altaicumがモンゴル、南シベリアなどに分布し、中国では北西の一部地域に自生する。A. altaicumの分布域と、古代中国でネギの基本的な品種群が既に分化していたこととを考え合わせて、中国北西部あるいは中国西部がネギ栽培の起源地であろうと想像されている。A. altaicumが栽培ネギの成立に関わり、また、その後も継続的に自然の遺伝子給源としてネギの変異拡大に寄与した、という可能性は十分に考えられることである。
- 特徴
- ネギは植物本来の性質としては多年草で、栄養繁殖も可能である。しかし作物としては種子による増殖が普通であり、播種から1年以内に収穫することが多い。元来は温帯の野菜であるが、耐寒性、耐暑性それぞれに強い品種があり、亜寒帯から亜熱帯まで栽培可能である。一般に生育は春と秋に旺盛となり、夏と冬には停滞する。秋~冬の低温・短日条件下で花芽が分化し、春の高温・長日条件下で抽台し開花する。
- 利用
- ネギの香りはニラやニンニクのような強烈な臭気を含まず、生のまま刻んで薬味とするのに好適である。そば、うどん、吸い物など、あっさりとした料理に良く合い、特に葉ネギの柔らかい緑葉が好まれる。また、加熱すると辛味が消え、甘味が引き立つ。肉や魚との相性も良く、すき焼きや串焼き、鍋物、スープ、炒め物など、肉や魚の臭みを消し風味を添える。加熱調理には甘味の強い根深ネギの軟白部が好まれる。
- 参考文献
- 藤巻宏 編「地域生物資源活用大事典」農山漁村文化協会(1998)