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たまねぎ [Allium cepa L.]

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    鱗茎

解説

起源
北西インド、ウズベキスタン、中国の天山西部地域など中央アジアがその起源だと考えられているタマネギの作物としての歴史は古く、紀元前のエジプトではピラミッド建設従事者が多量のタマネギを食用にしていたことがHerodotusにより記録されています。その後、地中海地方から欧州へと広がり、中世の欧州ではすでに一般的な野菜として広く用いられていたことが分かっています。北米大陸には移民とともに広まり、その過程で日長・気候等に合わせた多くの品種群に分化していきました。原産地より東進することの無かったタマネギが、日本に導入されたのは明治時代に入ってからです。主に米国から多くの栽培品種が導入され、それを基に国内でもそれぞれの風土に適した品種群が分化しました。現在は日本のタマネギは、F1品種栽培の時代であり、一部の特別な品種を除き、ほとんど全ての栽培品種がF1品種となっています。
特徴
タマネギは越冬後、初夏に抽苔し、開花結実する越年生草本で、硬く短縮した地下茎(盤茎)を有しその上面には円筒状の葉を、下面にはひも状の多数の根を生じます。球(鱗茎)は葉の基部が肥厚した鱗片からなり、1球の鱗片数は6~11枚程度です。球形は扁平~球形、色は白色、銅黄色、褐色、赤色と様々なタイプが知られています。
タマネギの特徴はなんと言ってもそのフレーバーですが、フレーバー成分は細胞が破壊された際に生成されます。具体的には、前駆体1-プロペニルシステインスルホキシド等のアルキルシステインスルホキシドが、分解酵素CS-リアーゼにより分解され、ジプロピルジスルフィド等のプロピル基を持つジスルフィドが生成されます。これがあの独特な、タマネギフレーバーの主成分となっています。これら一連の成分は、生理的に興奮、発汗利尿や消化液の分泌に効果があるとされています。また最近では、これらの他にもセペンといった抗血栓物質(血小板凝集阻害物質)が含まれていることも明らかとなっています。
利用
球(鱗茎)を調理し、食用とします。調理法は、加熱調理からサラダまで様々です。また、生育途中の若いタマネギ(葉タマネギ)の葉や密植栽培した小玉のタマネギ(ペコロス)を食用として用いることもあります。
日本のタマネギは、その栽培方法によって大きく2つに分けることができます。一方は、主に本州で行われている真夏の猛暑を避けた、秋播き春取りび栽培です。もう一方は、北海道の冷涼な夏を生かした、春播き秋取り栽培です。現在、春播き栽培と秋播き栽培の割合はほぼ半々ですから、春から夏にかけては本州産を、秋から冬にかけては北海道産のタマネギを知らず知らず食べている事になります。
参考文献
八鍬利朗 著「北海道のタマネギ」 農業技術普及協会 (1975)