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1993年に発効した生物多様性条約(CBD: Convention on Biological Diversity)は、遺伝資源に対する各国の主権的権利を認めました。CBDの発効により、遺伝資源は人類共通の財産であるという遺伝資源に対する従来の考え方が大きく転換したため、国連食料農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)等の国際機関ではCBDの枠組みに沿った遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する新たな国際ルールの構築を進め、特にFAOでは2001年11月に食料農業植物遺伝資源条約(ITPGR: International Treaty on Plant Genetic Resources for Food and Agriculture)を採択しました。ここでは、CBD, FAO等において現在進行しつつある遺伝資源の取り扱いに関する新たな国際ルールについて情報を提供します。

生物多様性条約 (CBD)

1992年6月の環境と開発に関する国連会議(UNCED: United Nations Conference on Environment and Development)、いわゆる地球サミットにおいて各国に署名解放され、我が国も加入し、翌年12月29日に発効しました(条文)。本条約は、ヒト以外のすべての生物が対象で、「多様性」の定義には、種内・種間の多様性はもとより、生態系の多様性も含まれます。これによって、遺伝資源問題が地球環境問題の一環として位置づけられるとともに、それまでは一般に「人類共通の財産」と考えられていた遺伝資源に対して、原産国の主権的権利が認められ、遺伝資源を利用する際には事前に遺伝資源提供国の同意を得ること、ならびに遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分することが定められました。懸案であった遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS: Access to genetic resources and benefit-sharing)に関する法的拘束力のある国際的枠組みについては、2010年10月29日に名古屋議定書が採択されました。名古屋議定書は2011年2月2日から1年間署名開放され、50ヶ国の署名後の90日後に発効します。

食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約 (ITPGR)

CBD発効を受け、FAOでは、食料農業分野における植物遺伝資源の国際的な取扱いを定めたITPGRが2001年11月に採択されました(条文 [外務省Webサイト])。ITPGRは、CBDとの調和を保ちつつ、多国間システム (MLS: Multilateral System)の下で各国共通の契約ルール (定型の素材移転契約: Standard Material Transfer Agreement) を構築することにより、植物遺伝資源の取得を促進し、それらの保全と持続可能な利用ならびにその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を行うことで持続的農業と食料安全保障を図ることを目的としています。植物遺伝資源のうち、ITPGRのクロップリストに掲げられたイネなど35作物29牧草種については、アクセスとその利用から得られる利益配分について詳細に取り決められています。本条約は2004年3月31日に40カ国以上の加入をもって成立し、2004年6月29日に発効しました。この条約には、2013年現在約130ヶ国が加入しており、我が国も加入しました*。条約の詳細情報はITPGRのWebサイトを参照下さい。

  • * 2013年8月2日付の官報(号外 第169号)で本条約が公布されました。本条約は日本国に対して2013年10月28日以降、効力を発揮します。

FAO 遺伝資源関係資料